企画展「とちぎ江戸絵画の底力」第Ⅰ期のこり1週間です!

  

企画展の第Ⅰ期も残すところ1週間となりました!

皆様のおかげで来館者数ももうすぐ1万人に届こうかというところ...(5月25日現在なんと9213人!)

たくさんのご来館誠にありがとうございます!

さて本日は第Ⅰ期の注目作品3点をご紹介します♪

 

☆辰年生まれ大注目!宇都宮生まれ狩野派絵師の技

No.Ⅰ-3 狩野梅春貞信 「龍梅図」 上野記念館

梅渓賢直_龍梅図_400.jpg

今回の企画展でぜひ覚えていただきたいのが、狩野梅春貞信という絵師。

実はこの人、宇都宮出身の狩野派の絵師なのです!

狩野派とは室町時代から江戸時代まで400年にわたって活躍した専門の画家集団のことです。

狩野家はいくつもの家に分かれますが、梅春貞信はその中の深川水場狩野家という家を継ぎ、幕府からの注文を受けました。

さて、「龍梅図」では勇ましく天へと昇る龍と梅の花、さらに滝が描かれています。

飛び散った墨がさらに龍の勢いを強調するかのようです。

今年は辰年なので、辰年生まれの方は必見です。

 

☆お殿様だけどプロ級の腕前

NoⅠ-11 戸田忠翰 「芭蕉に小禽図」 享和3年(1803)上野記念館

戸田忠翰_芭蕉に小禽図_400.jpg

江戸時代、絵を描くのはプロの絵師たちだけではありません。

お殿様たちも教養のひとつとして絵を描きました。

宇都宮藩主の戸田忠翰は当時流行していた南蘋派の技法を学び、鮮やかな色づかいと繊細な描写が魅力的な作品をのこしました。

その腕前はもはやプロ級! お殿様とて侮ることはできません...

「芭蕉と小禽図」では、雪が降りつもる芭蕉と桃色の薔薇、小鳥が描かれています。

芭蕉の葉に積もる雪は、なんと墨を塗らず、その部分だけ絹の地色のみで表現されているのです。

さらに雪の表現の違いにも注目。芭蕉の葉に積もった雪はどさっと大胆に、薔薇や下草の雪は輪郭に沿うように薄く積もっています。その対比もおもしろいものです。

岩の上で鳴いている小鳥ちゃんの羽毛やくちばし、足先は緻密に描かれており、忠翰の技量の高さがうかがえます。

戸田忠翰_芭蕉に小禽図_500.jpg(かわいい...♡)

  

☆また行きたい...松島の思い出をたどりながら

NoⅠ-21 高久靄厓 「陸陽松島真景図」上野記念館

高久靄厓_陸陽松島真景図_400.jpg

コロナが明けた今年のゴールデンウィークはご家族で遠出をされたという方も多いのではないでしょうか。

日本三景のひとつ、松島に行かれたという方もいるかもしれません。

古くから景勝地として親しまれた松島ですが、栃木にも松島に魅了された絵師がいました。

その名も高久靄厓。

那須塩原市の生まれで、江戸に出て重鎮・谷文晁のもとで絵を学び、有力な弟子として後世高く評価されました。

実は靄厓は文政2年(1819)に仙台を訪れていますが、この作品はそのときに描かれたものではありません。

松島から帰った2年後、文政4年に茂木で描かれているのです。

そのため実際の景色を写したものというよりは、靄厓の心の中にある思い出の風景が描かれていると考えられます。

実は担当学芸員も昨年松島へ行き、遊覧船ツアーに参加しました!(運転で疲れすぎていて半分寝ていましたが...^^;

20230625_134904.jpg ←乗船した遊覧船

景色よし、グルメよしで、とってもおすすめの観光地です!


この3つの作品をはじめ、第Ⅰ期の作品が見られるのは、6月2日まで。

残りわずかとなっておりますので、ぜひお早めに足をお運びください。

 

さらに第Ⅰ期のチケットの半券をお持ちいただくと、オリジナル缶バッジをプレゼント!! こちらもぜひお楽しみに

(人文課・筒井)