12月4日(日)14時から「いま知ってほしい栃木の外来生物」の展示解説を行いました。10名の方にご参加いただきました。
まず、南谷学芸員から「外来生物とは、何か?」という説明がありました。外来生物とは、本来その地域に生息していなかったのに、人間によって他の地域から持ち込まれた生物であり、飼われていたものが逃げだしたり、放されたりすることで野生化したもののほかに、荷物にまぎれて持ち込まれたものです。なかでも、一部の外来生物は、人や生態系に悪影響を及ぼし、様々な問題を起こしています。
ハクビシンとアライグマは、外来生物として有名なのでご存知の方も多いのではないかと思います。農業被害や屋根裏に浸入し糞尿による悪臭被害などをもたらします。特にアライグマは、ご存知の方も多いのではないかと思います。アライグマは、その見た目とは異なり気性が荒く、人間を噛むこともあります。ペットとして飼育されたものが、逃げだしたり捨てられたりした結果、野生化し個体数が増加しています。小笠原学芸員によると博物館の裏に設置したセンサーカメラに写っていたためこんな街なかにもハクビシンやアライグマがいるそうです。
外来植物が侵入すると下のアマゾントチカガミの写真のようにその場所一面を覆うように増えることがあります。その結果、在来植物が生育できず、さらにその植物の葉を食べたり、蜜を吸ったりする動物にも影響を与えてしまうという説明がありました。
繁茂するアマゾントチカガミ
水草のアマゾントチカガミは越冬しながら繁茂し続けるため、少数でも増えて水路一面を覆ってしまいます。そうなると在来の希少な水草・ナガエミクリの生育を圧迫したり、水流を妨げてしまいます。このため、9月と11月に県自然環境課を中心となってアマゾントチカガミの駆除が行われました。
最後に南谷学芸員は、外来生物イコール「悪」ではありません。「人や他の生物等に悪影響がある時には、排除しなければなりません。これ以上、そんな悲しいことが起こらないように、飼っている生物は最後まで責任を持って飼いましょう。また、外来生物を拡げないように、増やさないように気をつけましょう。」ということを強調して解説を締めくくりました。
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テーマ展「いま知ってほしい栃木の外来生物」は令和5年3月5日まで開催しています。また、学芸員による展示解説も次回、令和5年1月22日に開催予定です。
みなさまのご来館をおまちしております。
(自然課 永嶋、三宅)
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