学芸員とっておき講座「栃木県の外来生物(脊椎動物)」を開催しました

 11月20日(日)に小笠原学芸員による学芸員とっておき講座「栃木県の外来生物(脊椎動物)」を講堂にて開催しました。

 まず小笠原学芸員の自己紹介から始まり、学芸員としての仕事に最初は驚きを感じたと話していました。(カモシカの死体引き取りなど)

小笠原学芸員による解説.jpg そんな親しみやすい雰囲気の中、本題である「外来生物とは何か、どのような影響があるのか」を分かりやすく解説しました。

外来生物と聞くと、あまりいいイメージを持たれないが、そもそもは人間が本来その国・その地域に生息していなかった生物を持ち込んだのが原因であり、「外来生物=悪者」と思いすぎないようにしたいな...というのが小笠原学芸員の個人的な思いだと語っていました。

とは言っても、外来生物による悪影響があるのも事実であるため、影響は影響で切り取って考えたいという切り口から、今回の講座の本題に入っていきました。

 

外来種の影響.png

 

 そもそも外来生物による影響とは、どのようなものがあるのかをかいつまんで説明します。まず、人の生命・身体への影響です。人をかんだり(咬傷)、刺したりする。糞による建造物の汚損などが挙げられます。次に、農林水産業への影響です。農林水産物を食べられてしまう被害(食害)や、外来植物の繁茂により収穫量の低下を招くことが示唆されています。最後に、生態系への影響です。在来種を食べたり(捕食)、在来種の生息・生育環境を奪ってしまうことが考えられます(競合)。また、近縁の在来種と交雑し雑種をつくる可能性があります(遺伝的攪乱)。その他にも外来種問題は、生態系や人間社会に大きな影響をおよぼすとされています。

剝製の解説.jpg写真:左からアライグマ、ハクビシン、タヌキの剝製

講座の後半では、実際の剝製を用いての解説と県内の外来生物(脊椎動物)の紹介がありました。

 

  放しちゃだめ.jpg 

 

 

 最後に、外来種を増やさないために、私たちが注意すべき点のお話がありました。特に、ショップなどで売られている生物は、絶対に逃がしたり放してはいけません。一度飼い始めたら責任を持って最後まで飼育・栽培をしましょう。

 

 

 今回のとっておき講座では、外来生物とは何か?を参加者の皆様と共に考える機会の場になったとのではと思います。講座終了後は、3体の剝製を見たり学芸員に質問をしたりしていました。

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

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只今、自然系テーマ展「いま知ってほしい栃木の外来生物」を開催中です!

今回の講座で話した「外来種とは何か?」や県内の外来種について詳しく解説します。

(自然課 永嶋、三宅)