企画展記念特別対談 「ゾウムシから見た自然・標本・博物館」を開催しました

5月8日(土)に、企画展記念特別対談「ゾウムシから見た自然・標本・博物館」を開催いたしました。この講座は、4月24日(土)より開催中の第129回企画展「収蔵庫は宝の山! ~博物館の資料収集活動~」の関連行事です。対談者は、東京大学名誉教授の養老孟司氏と当館の昆虫担当の栗原隆学芸員です。当日は、134名の参加者がありました。

コロナウイルス感染拡大防止のための対策として、参加者にはマスクの着用、手指のアルコール消毒、検温等の協力をお願いしました。さらに、会場の入口ドアは全て開放し、場内には空気清浄機を設置すると共に、座席は指定とし、グループ間は距離を空けることを徹底しました。

はじめに、当館の近藤真寿館長から、当館の紹介と、対談者の経歴の紹介がありました。

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対談が始まると、養老氏からは、まずゾウムシに魅了され現在まで研究を続けてきた経緯についての話がありました。また、ゾウムシには甲虫の中でも多くの種類が存在し、分からない点が数多くあり、それが魅力であることが語られました。

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「研究・調査を続けているヒゲボソゾウムシは、生息している地域によって色や形などに違いがある。その理由の一つとして、現在の日本列島が形成される以前は、いくつもの島に分断されていたことがあり、ヒゲボソゾウムシはそれぞれの島で独自の進化を遂げたことが考えられる。そのため、今後も日本各地での調査が必要となってくる。」

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「一方、自分たちだけでの調査は容易ではなく多大な時間がかかる。そのため、研究を進めるにはすでに各地で採集された標本を調べる必要がある。栃木県立博物館の収蔵庫には栃木県産のヒゲボソゾウムシの標本が保管されており、研究に役立てている。」

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ゾウムシの生態説明や採集の様子、成果を踏まえた話に参加者の方々はメモをとり聞き入っていました。なかなか聞けない養老氏と栗原学芸員の研究の話に興味・関心がわく面白い話でした。

今後の129回企画展「収蔵庫は宝の山! ~博物館の資料収集活動~」の関連行事は下記の日程で開催される予定です。皆様のご参加をお待ちしております。

●リレー講座「収蔵資料じまん話」 ※13:30~15:00で予約が必要です。

5月23日(日) 「収蔵資料じまん話4~民俗編~」

●展示解説 ※両日とも14:00~15:00。

5月15日(土)、6月6日(日)

●学芸員とっておき講座 ※すべて13:30~15:00で予約が必要です。

5月16日(日) 「しゃべる押し葉標本」

6月20日(日) 「美術工芸収蔵資料じまん話」

●新収蔵庫ガイド ※予約が必要です。

6月12日(土)①11:00~12:00 ②13:30~14:30

6月13日(日)①11:00~12:00 ②13:30~14:30

(自然課 永嶋)