4月25日(日)に、リレー講座「収蔵資料じまん話1 ~地学編~」を開催いたしました。この講座は、4月24日(土)に始まったばかりの第129回企画展「収蔵庫は宝の山! ~博物館の資料収集活動~」の関連行事の一環で、第1回目のリレー講座になります。今回の講師は地学編ということで、古生物担当の河野学芸員と岩石・鉱物担当の吉田学芸員です。当日参加を含めて合計18名の参加者がありました。参加者には、手指のアルコール消毒や間隔を空けた着席をお願いしました。また、室内の換気をよくするためにドアは開けたままで行われました。
まず、河野学芸員から、博物館収蔵の古生物資料とその収集・整理・活用について紹介がありました。
はじめに、当館の古生物資料について、現在、県内産化石4543点、県外国内産化石867点、外国産化石2723点、合計8133点が収蔵されていると紹介されました。
これらの資料の収集方法として、採集、寄贈、購入(作製も含む)があります。採集は野外で化石資料を直接採取する方法で、採取した化石を博物館で丁寧にクリーニングして標本が完成します。寄贈・購入は企画会議で審議された後に外部の資料評価委員会で承認されて実行されるそうです。収集された化石資料は、小型資料は資料棚の中に収納されますが、大型資料はクッション材を巻いて保管されています。
そして、当館じまんの化石資料が紹介され、その裏話や最新の成果を踏まえた話に参加者の方々は聞き入っていました。
じまんの化石資料
・翼竜 クテノカスマ (ドイツ ゾルンホーフェン産)
・アンモナイト クラナオスフィンクテス (益子町大平産)
・アンモナイト クレヴィセラス (佐野市葛生町産)
・恐竜 エドモントサウルス (アメリカ産)
・トリの化石 孔子鳥 (中国遼寧省北票産)
・クジラの産状レプリカ ナガスクジラの仲間 (宇都宮市下岡本町産)
・オオガネクジラ (那須烏山市大里産)
これらの収蔵資料は、展示解説や学校への貸し出しセット、地域移動博物館など展示・普及教育活動で活用されています。
続いて、吉田学芸員から、岩石・鉱物資料の収集・保管方法、そして逸品の資料について紹介がありました。
岩石・鉱物分野の資料では、レプリカの作製はなくすべて実物である点が古生物分野と大きく異なります。収蔵されている資料は、現在では採取・購入できない良質で貴重な資料が多いそうです。当館には、岩石資料1178点、鉱物資料2917点が標本番号を付けられて収蔵されており、収蔵庫内の写真を見ながら資料の保管の様子が紹介されました。
その後、じまんの岩石・鉱物資料が、様々な裏話とともにユニークに紹介されました。
じまんの岩石・鉱物資料
・閃亜鉛鉱 (秋田県尾去沢鉱山産)
・デザートローズ (チュニジア産)
・水晶 (栃木県富井鉱山産、山梨県乙女鉱山産)
・紫水晶 (栃木県野洲鉱山産、メキシコ産)
・自然金 (オーストラリア産)
・珪亜鉛鉱 (栃木県野門鉱山産)
・黄銅鉱 (栃木県足尾銅山産)
最後に、この収蔵資料を用いて開催したこれまでの展示や鉱物の撮影について簡単に紹介がありました。
講座が終わった後には河野学芸員と吉田学芸員に質問をされる方の姿もみられました。当館の逸品資料だけでなく学芸員活動の裏側をわかりやすく知ることができ、化石・岩石・鉱物に興味・関心がわくような面白い話でした。
今回のリレー講座のような、第129回企画展「収蔵庫は宝の山! ~博物館の資料収集活動~」の関連行事は下記の日程で開催される予定です。皆様のご参加をお待ちしております。
●企画展記念特別対談 ※聴講には予約と当日の観覧券が必要です。
5月8日(土)13:30~15:00 「ゾウムシから見た自然・標本・博物館」
対談者:養老孟司氏と当館学芸員
●リレー講座「収蔵資料じまん話」 ※すべて13:30~15:00で予約が必要です。
5月2日(日) 「収蔵資料じまん話2 ~動物編①~」貝やミミズなど
5月9日(日) 「収蔵資料じまん話3 ~動物編②~」ニホンカワウソ、ニホンジカなど
5月23日(日) 「収蔵資料じまん話4 ~民俗編~」
●展示解説 ※両日とも14:00~15:00。
5月15日(土)、6月6日(日)
●学芸員とっておき講座 ※すべて13:30~15:00で予約が必要です。
5月16日(日) 「しゃべる押し葉標本」
6月20日(日) 「美術工芸収蔵資料じまん話」
●新収蔵庫ガイド ※予約が必要です。
6月12日(土)①11:00~12:00 ②13:30~14:30
6月13日(日)①11:00~12:00 ②13:30~14:30
(自然課 北野)
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