展示室1近世コーナーの資料を一部リニューアルしましたので、少しずつ紹介していきたいと思います。
みなさま、大橋訥庵はご存じでしょうか?
『人名像伝』より大橋訥庵像 明治7年(1874) 当館蔵
大橋訥庵は、江戸時代の終わりに活躍した儒学者です。渋沢栄一に影響を与えた一人として、現在放映中のドラマ「晴天を衝け」の中でも取り上げられています。
大橋訥庵(1868~1862)は、長沼流兵学者清水赤城の子として生まれました。名は正順、通称「順蔵」と呼ばれていました。のちに、江戸でも名をはせた大橋淡雅の娘である巻子と結婚し大橋家を継ぎました。宇都宮藩に藩儒として招かれ、尊王攘夷思想を説きました。大老・井伊直弼が暗殺された桜田門外の変の後、老中・安藤信正の暗殺計画を企てましたが、坂下門外の変がおこる3日前に幕府に捕らえられました。
襲撃自体は失敗に終わりましたが、安藤らの幕閣が更迭され、尊攘派への弾圧が緩和されるなど、坂下門外の変はその後の政局にも大きな影響を与えました。
『闢邪小言』 安政4年(1857) 当館蔵
安政4年(1857)に刊行された4巻4冊からなる大橋訥庵の著書で、彼の尊王攘夷論の集大成といえます。徹底して、西洋学術を非難・排除して攘夷精神の鼓舞をはかりました。
大橋訥庵が中心となって起草したとされる『坂下門事件斬奸趣意書(写)』文久2年(個人蔵)もあわせて展示していますので、ぜひご覧下さい。
こちらの資料では、事件を起こすに至った理由を列挙し、老中・安藤を斬るための正当な理由を述べています。写しによって地方の尊攘派の武士達に状況を報告したと考えられます。
今後もリニューアル展示情報をお伝えしていこうと思いますので、どこが変ったのか、見に来て下さいね!
人文課(中山)
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