栃木県博には、非常に小さいものを観察できる特別な顕微鏡があります。その名も、「電子顕微鏡」です。
理科の授業でプレパラートを作って赤血球や細胞を観察した方は多いと思いますが、そこで使われているのは「光学顕微鏡」です。光学顕微鏡では、試料に当てた光をレンズを通して観察します。しかしこの顕微鏡は、バクテリアなどの1000分の1ミリ以下のものははっきり観察できません。そこで登場するのが電子顕微鏡です(写真は県博にある卓上式電子顕微鏡)。
電子顕微鏡は、光の代わりに電子ビームを試料に当て、跳ね返ってきた電子を検出して、拡大像を観察します。高性能な電子顕微鏡を使えば、なんと原子レベルのミクロな観察もできます。
今回は、キノコや地衣類といった菌類の仲間を、電子顕微鏡で見てみました。写真のキノコは、最近栃木県内で初めて見つかった「スゴモリダンゴタケ」という珍しいきのこです。
このキノコの胞子は、光学顕微鏡で見ると少しざらついた球形に見えるのですが...
電子顕微鏡で見るとこの通り。胞子の表面に非常に小さなイボが付いているのが分かります。
講座では、他にも地衣類の表面や断面など、いろいろな菌類を拡大して観察しました。普段は見えない世界を垣間見た講座でした。
(自然課 山本)
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