8月25日に、開催中のキノコと地衣類展の記念講演会が行われました。「アマチュアが切り拓くキノコ学」と題して、栃木県在住の浅井郁夫さん(日本菌学会会員)にお話しいただきました。
多くの方は、キノコの「研究者」と言えば大学の先生のような職業として研究を行う人々を想像するのではないでしょうか?しかし実は、本職ではキノコに関わることなく、仕事以外の時間を割いて研究にいそしむ「アマチュア研究者」と呼ばれる方々が存在しています。今回お話しいただいた浅井さんは正にそのような研究者の一人です。
浅井さんとキノコとの関わりは食べることを目的としたキノコ狩りに始まります。しかし、図鑑では同定できないキノコの多さに次第に気づき、その名前を知りたいという思いから学会に入会されました。そうしてキノコに関わるうちに、純粋に学問的興味としての関心が深まり、とうとう高価な顕微鏡を購入するに至ったそうです。そしてキノコ観察を続けるうちに、コウボウフデ(下の写真)というキノコが担子菌類ではなく子嚢菌類だったという大きな発見をされ、論文を学術誌に英語で発表されました。今回はその発見に至る経緯を、裏話も含めて盛りだくさんの内容で語っていただきました。
タイトルは「キノコ学」でしたが、分野を問わず生物系のアマチュア研究者がもつ可能性を、改めて認識できた非常に有意義な講演でした。浅井さん、どうもありがとうございました。
(自然課 山本)
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