ここのところ、急に暖かくなってきました。
例年より気温が高めのようですが、梅の花も咲き始め、春を感じられます。
まもなく、暦のうえでも三月節供、雛祭の日がやってきて季節は春に移り変わっていきます。
雛祭は一般に、3月3日(上巳の節供)に女の子のある家で雛人形を飾り、菱餅、白酒、桃の花などを供えて、無事や成長を祈り祝う行事です。
当館でも複数の雛人形を所蔵していますが、今回は、昭和46(1971)年に、小山市在住の方から御寄贈いただいた雛人形を展示しています。
そして、ともに飾られていたとされる、これらのもの。
何だか分かりますか?
向かって左から、鎧(よろい)、燭台(しょくだい・ろうそく立て)、行器(ほかい・食物を入れて運ぶ容器)です。
今は、格が高い武家や公家のお姫様が婚礼道具として用意した調度品などのミニチュアを飾ることが多いので、だいぶ変わって見えますね。
でも、もともと雛人形は、ケガレを祓うための形代(かたしろ)として川などに流した人形(ひとがた)がおこりで、子どもたちの人形遊び、中国の行事、武家や公家の慣習などと結びつきながら、今の雛祭になったと考えられています。
ですから、中国地方などに男児が天神様の人形を飾る事例もあるようで、女児のためだけの行事ではなかったことがうかがえます。
また、一般家庭に雛人形を飾る風習が広まった近世~近代には、飾る方がそれぞれの思いのもと、好みのものを集めて飾ることも多かったようです。
かつては、各家の個性がより表れていたのでしょうね。
展示をしている雛人形は、一見、小型で古めかしいものですが、家人の思いが込められた飾り、素晴らしい衣装など、見どころが多くあります。
3月3日に展示終了の予定ですので、それまでにぜひ、会いに来てください。
あわせて、2階の展示室2入口付近では、「みやびな衣装-ひなまつり-」というロビー展示も行っています(2月中旬~3月中旬)。
こちらでは、今よく見られる雛人形の装束のもとになった平安装束の十二単(じゅうにひとえ)、束帯(そくたい)(ともに複製品)、貝合わせの貝(歴史部門資料)などを展示しています。
あれ?
雛人形と男女の並び方が違う?それともあなたの家では同じ?
並び方の違いは、展示をご覧になれば分かりますよ。(一説ですが)
私たちに身近な行事、雛祭にも、謎は多いのです。
興味深いですね。
(人文課 宮田)
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