現在、第122回企画展「藤原秀郷―源平と並ぶ名門武士団の成立―」(~12/9(日))が開催中です!
藤原秀郷は、平安時代中ごろの下野出身の武将で、平将門の乱を鎮圧したことから鎮守府将軍に任命され、のちには武芸の祖と仰がれ、その子孫たちは秀郷流武士団を形成しました。
【秀郷展】担当学芸員の山本さんにその見どころを聞いてきました!
開幕!と思ったのもつかの間、実は、前期展示(~11/18(日))は残すところ1週間ばかりなのですって!
展示替えがあるなんて、知っておりましたか皆さま!
そんなわけで、今回は、前期にしか見られない作品をご紹介します。
延喜式 巻四二 鎌倉~南北朝時代(14世紀) 東京国立博物館所蔵
*本展出品、唯一の国宝!*
皆さんご存知の平安京の図面を載せている資料で現存最古級だそうです!
左京図・宮城(大内裏)図・内裏図・八省院(朝堂院)図・豊楽院図・右京図という順に部分ごとに図画されています。
*平安京の構造と貴族の邸宅に関する情報も満載!*
山本さんおススメの注目ポイントは、特に左京区とのこと。
秀郷の子の千晴と関係深い公卿源高明の邸宅「高松殿」や秀郷の子孫が仕えた藤原摂関家の邸宅「東三条殿」の文字が確認できるそうです。
ちなみに、東三条殿は貴族の邸宅様式である寝殿造の代表的建築として有名なのだとか!
秀郷が活躍した時代に思いを馳せて、皆さまもぜひ展示室で京の都を探検してみてくださいね。
北野縁起絵(岩松宮本) 中巻 貞治6年(1367) 国立歴史民俗博物館所蔵
*清涼殿に落雷!菅原道真を追放した藤原時平 VS 怨霊となった菅原道真*
今では学問の神、天神様として知られる菅原道真ですが、藤原摂関家の政争に破れて不遇の死を遂げ怨霊となったとされます。
当時の都を震撼させた清涼殿落雷事件やそれにまつわる道真の天神信仰は、10世紀における大きな出来事であり、まさに秀郷が生きた社会背景を映した絵巻なのですね!
また、道真は平将門と結びつけて考えられることもあり、将門の新皇即位の際にも道真の霊魂が登場するのだとか!
なるほど~そう言われると、絵巻に描かれている怨霊道真に立ち向かい抜刀する時平が、将門を討ち取る秀郷と重なって見えてきますね!
緑色の雷神(道真?)の表情もコミカルで、もくもくとした黒雲や激しい雨、不思議にカクカクと伸びる稲妻の表現のおもしろさも注目です。
伊勢物語図屏風 六曲一双 江戸時代 斎宮歴史博物館所蔵
*右隻の第9段「東下り」が特に注目!*
東国で活躍した秀郷ですが、雅やかな王朝文化を享受する都の人々にとって東国は、和歌に詠みこまれる憧れの地でもありました。
そんな秀郷と同時代の地方イメージをふくらませるのが「伊勢物語図屛風」です。
全125段のうち、代表的な48場面が右左隻24場面ずつ描かれています。
「か・き・つ・ば・た」を歌に詠みこむ「八橋」をはじめ、抒情的に東国紀行を語る「東下り」は有名ですね!
そこには平安時代の東国の風景が垣間見えます。
ぜひ富士山を見つけてほしい!と山本さん。
どこにあるかわかるでしょうか?
他にも、駆け落ちの果ての悲恋「芥川」、幼馴染の恋物語「筒井筒」、百人一首「ちはやぶる神代も聞かず......」でお馴染みの「龍田川」などなど、時に恋に胸打ち、時に四季に思いを馳せる魅力的な王朝ロマンが金雲の中に散りばめられています。
豪華な金屏風は間近で見ると迫力です!
※ご紹介した作品はすべて11月18日(日)までの展示です。
皆さまのご来館をお待ちしております!
<つづく>
(人文課 久野)
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