皆さん、こんにちは。だんだん秋の風を感じられるようになってきましたね。
9月16日の県博デーに、キッズ・ツアー「今昔コケ物語」を行いました。
その様子を少しですがご紹介したいと思います。
皆さんは道端に、公園の木陰に、石垣の隙間に、コケを見かけませんか?
コケは正確には「蘚苔類」または「コケ植物」と言います。
また、よく似たそっくりさんに「地衣類」があります。
今はこんな風に種類が分けられていますが、昔(江戸時代後期以前)はみんなまとめて「コケ」でした。
コケは昔は『木毛』や『小毛』と書き、木の幹や枝に生える毛のような植物を意味したと言います。
今日は館内にあるそんなコケたちを探しに行きました!
スロープ入口にある寄進碑です。よく見ると白っぽいシミのようなものが付いていますね。
これはシミではなく、地衣類です。石碑や墓石など、時間が100年くらい経ったものにはこのように地衣類が付いていることが多いようです。
地衣類は何かというと、「菌類」と「藻類」が合体したものです。今日は『地衣ちゃん』と呼んで探していきます!
皆さん、真剣に探していますね。
イタチのいる岩にはコケが、ニホンジカの足元の倒木には地衣類(ウメノキゴケ)が付いています。
皆さん見つかったでしょうか?
このオオシラビソの幹にはたくさんの地衣類が付いています。
上のほうにある茶色のファサファサしたもの、これは「ハリガネキノリのなかま」です。
また、ペンキを塗ったように幹にベタッと付いている肌色っぽいものや白っぽいもの、これは「痂状地衣」です。
こちらの倒木にはコケがみっちり付いていますね!
白根山頂のお花畑まで上がってきました。
向かって右側の岩にはチズゴケが、真ん中の辺りにはミヤマハナゴケやマキバエイランタイが見えます。
チズゴケは高山の岩場に生育しています。
ミヤマハナゴケとマキバエイランタイは栃木県では絶滅危惧に指定されています。
白根山に実際に行く機会があったら、これらの地衣ちゃんたちに会いたいものです。
次に展示室1の「眠り猫」のところに来ました。
実はここにも地衣類があります。
このような彫刻にも描かれてるなんて面白いですね!
次はテーマ展「小泉斐の世界」で、絵に描かれている地衣類を探しました。
小泉斐は益子町出身の江戸時代の画家で、鮎の絵で有名です。
こちらの「鮎図」ですが、上の方の岩に注目してください!
岩の上の点々、これらはレプラゴケかと思われます。
他の絵にも地衣類がどこにあるか探してみました。
こちらの桜の木にはウメノキゴケが付いています。
ウメノキゴケはこのように日本画によく描かれたそうです。
ウメノキゴケの標本を手に取って見てもらいました。
最後に、身近にいるコケの中で「ギンゴケ」について紹介しました。
コケ(蘚苔類)は日本の中だけで約1800種類もいるそうです。
みなさんもお出かけした際にはぜひコケを見つけてみてください!
ご参加いただきまして、ありがとうございました!
次回のキッズ・ツアーは10月21日の県博デーに実施されます。
「ぐるり。模様めぐり~季節の植物~」と題して、博物館の植物から日本の伝統模様を探します。
皆さまのお越しをお待ちしております。
(解説員 細谷)
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