リレー講座②「レッドデータブックとちぎの昆虫」を行いました

7月14日から10月8日まで、第121回企画展「レッドデータブックとちぎ2018」を開催しています。これに関連して、当館では合計8回のリレー講座を実施いたします。7月29日には「昆虫」に関する講座を行いました。担当は昆虫担当の栗原学芸員です。

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 はじめに、レッドデータブックとは何か、本そのものの説明や概要についてのお話から始まりました。その中に、昆虫は563種が掲載されていること、絶滅の判断が難しいなどの説明がありました。

 「タガメは知っていますか?」という問いかけには、何人ものお子さん方の手が上がり、7匹飼っていますという男の子がいて、驚きの声が上がりました。「東京や神奈川では野外でまず見ることができません、栃木にはまだまだいろいろな昆虫がいます。」という栗原学芸員のお話しに、皆さんが納得のご様子でした。

 昆虫の減少や絶滅の理由については、開発により生息地や生育地が失われる、商業目的や鑑賞目的で乱獲される、環境が人の手により維持されなくなるなどが考えられるそうです。

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 次に、いろいろな環境ごとにどのような昆虫がレッドデータブックに掲載されているかについて、スライドの写真をもとに説明されました。さまざまな環境としては、雑木林や草地、水田・ため池、河川・河原、森林、湿原、渡良瀬遊水地などがあげられました。

 カシワの木が減って、幼虫がこの葉を餌エサとするウラジミドリシジミやヒメシロシタバが減少し、また、麻の栽培地の減少でアサカミキリがきわめてまれになりました。

この写真はアサカミキリです。

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 さらに、かつては身近にたくさん見られたミズスマシの仲間が絶滅の危機にあったり、多くの昆虫の減少について具体的な環境とともに、説明がありました。

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 最後は、なぜ私たちは昆虫を守らなければいけないかについてのお話でした。昆虫はいろいろな果物や野菜の花の花粉を運ぶ、害虫を食べる、虫の体に含まれる医薬品成分が利用できる、飛行機などのデザインのもとになるなど、普段あまり考えない昆虫の役割を考えることができました。

 栗原学芸員からは、「栃木に昆虫は1万種以上も生息していますが、研究する人が少なくて困っています。若い皆さん、将来は昆虫の研究者を目指してください。」というお子さん達への熱い呼びかけにより、講座を閉会といたしました。

その後、希望者に昆虫の標本をご覧いただき、またご希望の方へ展示解説も実施いたしました。

ご参加いただいた皆様、猛暑の中、博物館まで足をお運びいただき、有難うございました。

なお、リレー講座は8月5日に「きのこ・地衣類・藻類」、8月12日に「無セキツイ動物」、9月9日に「植物」、9月30日に「セキツイ動物」などが次々に開催予定です。皆様のご参加をお待ちいたしております。

ただいま、当館2階ではレッドデータブック展を開催中です。夏休みに入り、連日多くのお子さん達の姿がみられます。ご家族、またお友達をお誘いあわせの上、皆様のご来館をお待ちいたしております。