2017年9月30日(土曜日)
表記の講座①に引き続き、今回は講座②が博物館研修室にて行われ、多くの皆様が参加されました。
初めに、今回の講座の目的が説明されました。
1 ミミズの同定に必要な分類形質
2 ミミズの外部形態の観察
3 解剖による内部形態の観察
4 様々な形態をもつミミズの観察
次に、ミミズの同定のために重要な以下の7つの形質について説明がありました。
①剛毛の配列 ②環帯の形 ③雄性孔の形態 ④受精嚢孔の位置・対数 ⑤性徴の形態と分布
⑥腸盲嚢の形態
観察を開始する前に、双眼実体顕微鏡に光源を入れ、両眼での観察のための目の幅の調整や左右の視度の調整などを行いました。両眼視での観察が初めての方には、慣れるまでしばらく見えづらいようでした。 |
一人2匹ずつ、固定されたミミズを取っていきます。(フトスジミミズ、ヘンイセイミミズ)
はじめは外部形態の観察で、剛毛の配列などを各自で観察いたしました。初めて見るミミズの剛毛は、光の加減や観察位置によってはなかなか見づらく、多くの方が苦労されていました。環帯の形と雌性孔の観察は、大体易しかったようです。
さらに、雄性孔・受精嚢孔の観察と進むにつれ、次第に難しさが増してきました。孔といっても、受精嚢孔は体節と体節の隙間にわずかに見える窪み、といった感じであり、多くの方がだいぶ苦労されていました。
次に、ミミズの背面を上にして、メスを手にして体壁を切り開き、内部形態の観察を行いました。
慎重に切り開いて、ピンで体壁を解剖皿の底のゴム板に固定し、観察を行いました。消化器系として咽頭、砂嚢、腸などを順に観察していきます。腸盲嚢を見つけるのは少し難しいようですが、ミミズの生活形を反映している重要な形質という説明がありました。生殖器の受精嚢、貯精嚢など、初めて見るものばかりで、解剖図と比較してじっくりと観察を行いました。
早めに終わった方から、予め準備されていた他の種類のミミズの外部形態も観察し、それまでのミミズと比較していきました。
解剖中には、巡回している担当学芸員と自由に活発な質疑応答がなされ、皆さんの疑問や不明な点などはおおむね解明されていったようです。
今回は、ミミズについて内部・外部形態ともに十分な観察が行われ、種の分類や同定などがどのような観点からなされるかについても、だいぶ理解を進めていただくことができたように思います。
ミミズにご興味を持たれた皆様は、ぜひ、2018年3月17日より開催予定の「ミミズ展」にお越しください。
(自然課 浅羽 記)
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