本日4月16日は、今年度最初の県博デーでした。今日のとっておき講座は、現在開催中の「収蔵庫は宝の山!」展の関連行事として企画されました。
前半は、博物館に収蔵される植物の標本ができるまでのお話。後半は、その標本がどのように活用されているのかのお話でした。
↑県内で現在絶滅してしまった植物たちの標本を紹介
後半では、図鑑にも載っていない「カサモチ」という植物を標本を使って調べたこと、別名で「ヒメコウホネ」などの仮の名前で収蔵されていた標本が、後の専門家の研究で「シモツケコウホネ」という新しい種になったこと、・・・などなど。標本の重要性や標本をたどって研究する面白さとともに、学芸員のこれまでの苦労も垣間見えるようなエピソードが盛りだくさんでした。
お話の中には、もちろん、現在開催中の「収蔵庫は宝の山!」展で展示中の標本のエピソードも紹介されました。
生物が新種として、新しく名前を付けられて世間に発表されるときには、その生物の"見本"として標本が1点だけ"タイプ標本"として、論文で指定されます。このタイプ標本は、分類学者にとって特に重要な標本です。
「オオミネザクラ」には、そのタイプ標本が2点指定されているとして、研究者が論文に記載された標本を探しに栃木県博へ来ました。県博へ寄贈された、栃木県ゆかりの研究者の大量の標本の中から、その標本は見つけ出され、正式な"タイプ標本"として新たに指定されることになりました。学芸員いわく、この時ほど標本を保存しておく重要性を強く感じたことはないとのことでした。
下の写真は、左が記載当時1965年の論文の一部、右が当館の収蔵標本です。少し傷んでいますが、同じ標本だということが分かりますね!
この標本が展示されるのは、5月上旬までとなります。代わりに別のサクラのタイプ標本を展示する予定です。タイプ標本は本来、保存が優先されるため、展示されることはめったにありません。
なお、「収蔵庫は宝の山!」展は6月18日まで開催しています。「オオミネザクラ」の他にも様々なエピソードを隠しもった貴重な標本が展示されています。
この機会にぜひ、見に来てくださいね!
(自然課:三瓶)
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