あけましておめでとうございます。
本年も栃木県立博物館をどうぞよろしくお願いいたします。
さてさて、いよいよ10日(土曜日)から始まる3本の人文系テーマ展。
前回は美術系「下野の仏像と仏画」の見どころをざっくりご紹介いたしました。
(2014年12月23日投稿「見どころ紹介!テーマ展「下野の仏像と仏画」編」)
さて今回は!歴史系「近代の教育」の見どころについて
担当されている伊藤康行主任研究員から詳しくお話を伺いましたのでご紹介いたします!!
以下、伊藤主任研究員からの見どころ解説を、私の個人的な感想(「(深)」と表記)を挟めつつそのまま掲載いたします☆
*****
第一章 近世の教育
近世においては、庶民の子弟が学ぶ寺子屋が全国で普及し、そこで使用された往来物は私たちが思っている以上に多くあります。特に、「百姓往来」や「商売往来」は江戸時代の厳しい身分制ならではのものです。また、武士の子弟は藩校などで主に漢籍を学びました。このような江戸時代の教育水準の高さが基盤となり、近代の教育が急速に発展したことがわかりますが、同時に国民皆学をどのように実現するのかという課題も内在していました。幕末から明治初期には、西洋の知識を紹介する翻訳本が多数出版されました。福沢諭吉の著作では「学問のすすめ」がよく知られていますが、「窮理図解」(写真)や「世界国尽」なども当時よく読まれていました。
*****
なるほど なるほど。
近代の教育は、明治時代に入って一気に進んだわけではなく、
江戸時代ですでにレベルの高い教育が行われていたからこそ発展したんですね。
その連続性を、展示で見てみるのも楽しそうです!(深)
*****
第二章 近代の初等教育
学制の発布により、全国で小学校の創立が始まりましたが、当初は理想通りには行きませんでした。小学校は寺院などに設置され、寺子屋から改造されたものが大半で、地域の住民の負担によって建設・運営されました。また、授業内容は試行錯誤の状態で、「アルファベット表・ローマ字表」(写真上)や「地理学第一歩」(写真下)などの教員の手作りの教科書はそれを感じることができます。小学校の教科書は、明治初期の西洋書の翻訳教科書時代から、検定教科書時代(明治19年~)、国定教科書時代(明治36年~)と推移していき、内容も時代の要請に応じて変化していきました。本展では、分かりやすくそれらを教科ごとにまとめて展示してあります。
*****
「授業内容は試行錯誤」!!
「教員の手作りの教科書」!!
いつの時代も、先生は子どもたちのために一生懸命だったんですね。
教科書の移り変わりを教科ごとにまとめて展示、というのも興味をそそられます。(深)
*****
第三章 近代の中等教育
明治時代以降の中等教育機関としては、大別して男子普通教育を行う中学校、女子普通教育を行う高等女学校、実業教育を行う実業学校(農学校や工業学校など)がありました。本展では学校種別ごとに分けて展示し、その教育内容を知ることができます。そこからは現代の中等教育では考えられないほどの高等な教育内容となっていたことが見てとれます。また、鹿沼農商学校の詰め襟の制服をみることもできます。
*****
詰め襟の制服も気になりますが、
近代の中等教育がどれだけハイレベルな教育内容だったのか・・・
とっても気になります。
展示資料に書かれている内容までしっかり読み込みたくなりますね。(深)
*****
その他に、コラムとして「教育に関する勅語」と「師範学校」に関する資料が展示してあります。特に、「教育に関する勅語」の実物や「御真影入れ」(写真)、「勅語謄本詔勅奉蔵箱」は使用された当時は限られた人しか目にすることができませんでした。必見です。
*****
「必見です」とまで言われたら、これはもう見逃すわけにはいきませんね!(深)
最後に、伊藤主任研究員からのメッセージです。
*****
国家百年の計といわれる教育。
時代の求める人材は異なりますが、近代国家建設の使命を果たした近代の教育を知ることは、日本の教育の原点に立ち戻るために非常に有意義であると思います。現在、学校教育をめぐる様々な問題点が指摘され、その改革が求められています。先人たちの目指した教育にもその解決のヒントがあるのではないでしょうか。
*****
伊藤主任研究員、お忙しいところご協力ありがとうございました!
最後のメッセージからは伊藤主任研究員のこのテーマ展に対する情熱を感じました。
いろんな思いがこの言葉に込められていると思います。
お話しを伺い、開幕がより一層楽しみになりました☆
なお、本テーマ展に関連し、
2月1日(日曜日)には、14時30分~15時30分まで展示解説が、
2月15日(日曜日)には、13時30分~15時まで当館研修室で「近代の教育」と題された講座が開催されます。
講座は事前にお電話によるお申込みが必要ですが、展示解説はお申込みの必要はありません!
どちらもふるってご参加ください。
テーマ展「近代の教育」は、教育に携わっている方、子育て真っ最中の方、
いま学校に通っている方などなど、いろんな方がいろんな見方で楽しめる展示だと思います。
教育のヒントを探すもよし、約100年前の人がどういうことを勉強していたのかを
見てみるもよし、昔を懐かしく思い出すもよし・・・
それぞれの楽しみ方で、テーマ展「近代の教育」をぜひご覧になってください(*'∀'人)♥*+
(人文課 深沢)
コメント