テーマ展「私たちの身の回りの鉱物」が開催されて1ヶ月がたちました。もうご覧いただいたでしょうか?
まだ見ていない!という方のために、不定期連載でテーマ展の内容を紹介していきたいと思います。
まず、第1回目は「鉄」です。
人類が初めて利用した金属は自然金や自然銅などであるといわれています。自然鉄というものが無いわけではありませんが、非常に希なケースで、その大部分は硫黄や酸素と結びついた化合物になっています。鉄を利用するためには、このような化合物から鉄だけを取り出す製錬技術が必要でした。
鉄を製錬できるようになると、鉄は人類の歴史を支える中心となりました。ヒッタイトがメソポタミアを征服したり、ペリーが黒船に乗ってやってきたり、鉄で作った武器・乗り物・建物など、鉄が人類の歴史を大きく動かしてきました。
その鉄の原料となる鉄鉱石の多くは、「縞状鉄鉱床」とよばれる所から得られます。
縞状鉄鉱床は、38~19億年前にできた古い鉱床です。オーストラリアの縞状鉄鉱が有名ですが、この形成には「光合成生物の誕生」が関係してきます。光合成を行うシアノバクテリアが誕生したことで海洋中に酸素が多くなり、海洋中に溶けていた鉄(Ⅱ)イオンが難溶性の鉄(Ⅲ)イオンに変わりました。そのため、大量の鉄化合物が沈殿したために縞状鉄鉱床できたといわれています。
残念ながら日本には縞状鉄鉱床はありませんが、砂鉄を利用した「たたら製鉄」が有名ですね。
次回は「銅とその利用」をご紹介します。
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