こんなにあったよ!とちぎの鉱物レポート(その9)

 いつのまにやら9月になっており、企画展も残すところあと2週間ほどになってしまいました。しかし、先日、3点ほど鉱物標本を追加しました。追加したのは、久良沢鉱山の満ばんザクロ石(結晶が大きい)、伊守山鉱山の重晶石、万珠鉱山の金鉱石です。興味がある方はご覧ください。

 さて、今回は栃木で採れるレアメタル鉱物を紹介していきます。

 まずは、タングステンを含む鉱物である鉄重石です。

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板荷鉱山産の鉄重石

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大井沢鉱山産の鉄重石

 鉄重石とマンガン重石は連続固溶体をつくるので、実際には鉄マンガン重石とよべるものも混ざっているかと思います。名前の通り、手に持ってみるとずっしりとした重量を感じることができます。タングステンは電球のフィラメントなどに使われています。

 次に、モリブデンの鉱物として有名な輝水鉛鉱です。
MolybdeniteOHWASHI.JPG
 大鷲鉱山は輝水鉛鉱で有名ですが、実際には灰重石などのタングステンを含む鉱物や、輝蒼鉛鉱などのビスマスを含む鉱物も見られます。
 輝水鉛鉱は見た目の金属光沢とは裏腹に大変軟らかく、雲母のように剥がれてしまうデリケートな鉱物です。

 次にビスマスを含む鉱物をご紹介します。
JoseiteA.jpg
 唐沢鉱山のホセ鉱Aです。写真のキラっとしている部分がそうです。
ホセ鉱にはホセ鉱A(Bi4TeS2)とホセ鉱B(Bi4Te2S)がありますが、肉眼では判別できません。珍しい鉱物ですが、県内では大井沢鉱山など他の産地があります。
 ビスマスは、整腸剤などに含まれる他、融点が低い合金がつくれることから、スプリンクラーの部品などに利用されています。

 レアメタルなのに、栃木でこんなにでるの?と思う方もいると思いますが、レアメタルを含む鉱物はそれほど珍しいものではありません。しかし、そこから資源を得ようとすると、採掘や精製のコストが高くついてしまいます。そのような理由もあり、現在では輸入に頼っています。
 しかし、資源は有限ですので、これらの元素をリサイクルして活用していくことが必要です。

 この企画展終了後の9月27日(土)より、"私たちの生活と鉱物"というテーマ展が続けて始まります。こちらでは、栃木県に限定せず、色々な鉱物の用途と活用についてご紹介いたします。ぜひご覧になってください。