今回のテーマ展では、秋と冬を中心に活動する昆虫を展示しています。
冬の虫として、まず紹介するのは、冬の虫で一番の目玉ともいえるフユシャクガの仲間です。
幼虫はシャクトリムシの格好をしており、冬に羽化して成虫になるのでフユシャクガと呼ばれています。
フユシャクガの多くの種類は、口が退化しているためエサを食べません。
幼虫の時期に得たエネルギーだけを使って数週間生きます。
また、オスだけしか飛べず、メスの翅(はね)は小さくなるか、無くなってしまっています。
このように、ほかの季節に見られる虫とは一味違った魅力を持っています。
栃木県には多くの種類のフユシャクガが生息しており、晩秋、平地よりも早く寒くなる山の方から出始め、次第に平地でも見られるようになります。
シロフフユエダシャク ♂
クロテンフユシャク交尾ペア(上が♀ 下が♂)
次に紹介するのはキリガと呼ばれる、これもまたガの仲間です。
エサの少ない冬に、口を退化させることで適応したフユシャクガとは違い、キリガの仲間には立派な口があり、エサを摂れるようになっています。
その口で、冬でも染み出ているコナラの樹液などを吸って栄養を摂ります。
エネルギーを取り入れられるので、ひらひら飛ぶフユシャクガとは違い素早く飛びます。
そのようなことから飛んでいるキリガを捕まえるのはフユシャクガよりも難しいです。
キリガを捕まえたいときは、コナラから出ている樹液を探しましょう。
樹液を出している木は多くはないので、一か所見つけるとそこには多くのキリガの仲間が来ているはずです。
スモモキリガ
真冬の夜、飛べないメスを探して舞うフユシャクガの♂。
樹液に集まる様々なキリガ。
そんな不思議な光景が見られる冬の雑木林に、皆さんも足を運んでみませんか。
(自然課: 小田桐)
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