会期も残すところ、あと4日となりました!
最後にどうしてもご紹介しておきたい名宝が、国宝『清拙正澄墨蹟』です。
この『清拙正澄墨蹟』は「遺偈(ゆいげ)」と呼ばれるものの一つです。巻頭に記された三文字を取り「毘嵐巻(びらんかん)」とも呼ばれています。
「遺偈」とは高僧が死に臨んで、自己の感懐、信仰の根幹、弟子・後世への教訓など、臨終の心境を書き遺したものです。死の間際まで、高僧というのは大変なものなのですね…
清拙正澄は中国・元時代の高僧で、北条高時の招きによって来日しました。暦応2年(1339)正月17日に直義と大友氏泰に戒法を授けた後、この遺偈を記して亡くなったといわれています。
大部分は前もって記しておき、特に日付と花押を臨終の際に手を添えてもらいながら描いたと考えられています。最後の二行の乱れた文字は、死に臨む人間のリアリティを感じさせますが、潔く、すがすがしい文字でもあります。
最後の一瞬を凝縮したこの書を目の前にすると、わたしたちもおのずと死について考えさせられてしまいます。
日本の墨蹟のなかでも第一級の名品です。ぜひ、ご覧になってください。
今度の三連休が最後のチャンスですよ!
次回のまんきつガイド第10回は最終回です!お楽しみに!
(人文課 瀬戸口)
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