7月21日より、人文系テーマ展「巡回展 栃木の遺跡-最近の発掘調査の成果から-」が展示室2で開催されています。
このブログでは、展示物の一部を紹介したいと思います。
今回の展示は二部で構成されています。
第一部では、平成23年度の発掘調査で出土した遺物、および過去の調査で出土した遺物のうち、これまであまり展示されていなかったものを展示しています。
写真は、神畑遺跡から出土した石鏃の石核、未成品や完成品を並べたものです。
足利市菅田町に位置する神畑遺跡は、北関東自動車道の建設に伴って発掘調査が行われました。その結果、縄文時代後期~晩期にかけての集落跡が発見されました。
特に、遺跡からは500点を越える数の石鏃が出土し、これらの素材となる原石や石核なども多数出土していることから、石鏃の製作遺跡と考えられています。
チャートやメノウ、黒曜石、頁岩など、様々な石材が使用されています。
続いての写真は、足利市樺崎町に所在する渡戸古窯跡から出土した須恵器です。この遺跡も北関東自動車道の建設に伴い発掘調査が行われました。
調査が行われたのは窯跡本体ではなく、灰原(窯跡からかき出された灰の集積場)なので、発掘されて見つかったのは、捨てられた須恵器が中心です。
出土した遺物から、窯跡は7世紀初頭に営まれた窯跡であることがわかりました。
第二部では、昨年3月11日の東日本大震災関連の展示が行われています。
この震災では、県内各地で震度6強を観測し、史跡や文化財関連施設にも甚大な被害を及ぼしました。この被災状況の写真をパネルで紹介しています。
約1400年間耐えてきた古墳の石室が、昨年の地震で崩壊してしまった様子は目を覆いたくなるような惨状です。
写真は那須烏山市の文化財整理室が被災し、壊れてしまった土器が元どおり復元された状況です。
震災以降、一年と半年が過ぎようとしていますが、文化財関連も着々と復興に向けて動いていることがわかります。
あの時の恐怖は思い出したくない反面、こういった記録を後世に伝え残していくことも重要なことだと思います。
以上、展示の一部を紹介しましたが、展示室では各時代の様々な遺物が皆様をお待ちしております。
ぜひお立ち寄りください!
(人文課 津野田)
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