2010年08月17日
栃木の蔵の石を探る
蔵の街として有名な栃木市には、数多くの蔵が存在します。栃木市に立ち並ぶ蔵には漆喰で塗り固められた土蔵もありますが、今回は栃木県で産出する石を石材として使っている石蔵に焦点を当ててみました。
栃木市の街並み
石造りの蔵
写真のような石蔵だけでなく、家屋の塀や川の護岸のための石材としても栃木県で産出する石が使われています。
主に石材として使われている石には、大谷石や深岩石、岩舟石などがあります。これらの石は凝灰岩(大谷石、深岩石)や凝灰角礫岩(岩舟石)と呼ばれているものです。
凝灰岩とは火山から噴出した火山灰が降り積もり、長い年月をかけて固結した岩石のことであり、凝灰角礫岩とは、凝灰岩の中に角ばった礫が入り込んでいる岩石のことです。
これらの石が石材として使われる理由としては、加工が容易なことと、軽量であることが挙げられます。
大谷石
深岩石
大谷石と深岩石は同じ時代に同じような経緯で形成された石なので、ちょっと見分けが付きにくい石材です。大谷石は旧帝国ホテルに使われた由緒ある石材です。淡緑色の斑紋があり、近頃は内装材として使われるなど美しい石材です。深岩石はややかたい石材で、栃木市では蔵の石組みに多く利用されていました。
岩舟石
大谷石や深岩石など石材として使われている岩石や、蔵についての話は、栃木市の郷土参考館にてより詳しく知ることができます。
大谷石、深岩石、岩舟石などの実物が展示してあるほか、蔵の構造についての非常におもしろい話を聴くこともできるので、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
郷土参考館
昔ながらの蔵が立ち並ぶ街並みは美しいですが、たまには視点を変えて、その建物を作っている石にも目を向けてみてください。きっと新しい発見があることと思います。
(自然課 小暮)
投稿者 : 自然課 | カテゴリー : 自然部門活動記録