去る8月6日に、中里原地区の工事現場内にある露頭から、地層のはぎ取りをおこなってきました。
この露頭は、主に"ローム"と呼ばれる風化火山灰層からできています。また露頭には鹿沼軽石や今市軽石など堆積した年代を調べる手助けとなる軽石層が見られるほか、植物や昆虫の化石が入っていたり、川地形を示す構造が見られ当時の環境を知ることができるなど、非常に興味深い露頭となっています。
このように貴重な情報が得られる露頭を保存しておくために、地層のはぎ取りをおこないます。
地層のはぎ取りは、まずはぎ取りたい部分の表面をクリーニングし、その部分に布をかぶせ、接着剤で地層と布を接着します。この時地層と布がしっかりと密着するように、竹串を刺して押さえつけます。足場が崩れやすく、見た目以上に大変な作業です。
接着剤が乾燥したら、丁寧に布をはがしていきます。きれいにはがれた時の感動は、今までの苦労が一気に吹き飛ぶほどです。
きれいにはぎ取ることができました。
ここの露頭は、もうじき覆われてしまいますが、その前に詳しく調査し、情報を蓄積しておく必要があります。地層から得られる過去の情報は重要なものですが、風化が進んだり崩壊したりするため露頭の保存は難しく、これを被覆し補強しなくてはなりません。そこで、このように地層をはぎ取ることで、地層を標本として残すことができるのです。
今回のはぎ取り標本も、研究に大いに役立つことと思います。
(自然課 小暮)
コメント