民俗資料撮影の“裏側”見せます!(「箕(み)作り」(材料の採集と加工)編)

民俗分野の資料デジタルコンテンツ化事業に関して・・・


今回は「箕作り」(まずは材料の採集と加工について)の撮影秘話です。


栃木県内には、箕を作る職人さんがたった数人しかいません。
撮影をして、編集し、デジタルコンテンツ化することは、その貴重な箕作りの様子を記録し、
研究の資料とするとともに、広く皆様に紹介することを目的にしています。


箕作りは、まず、その材料を採ることから始まります。
主にフジ、シノダケ、ヨツドミなどを使いますが、これら材料はそれぞれ生えている場所が異なります。
それらが手に入りそうな場所に当たりをつけて、山林などに探しに入ります。

山林に入っていく様子を撮るための打ち合わせ
より分かりやすい映像を撮るために、撮影する角度や流れについては、
区切りごとに打ち合わせをします。
必要があれば、同じ動作を二度以上行なっていただくこともあります。
撮影にご協力くださった職人さんご夫婦には、本当に感謝しています。


撮影スタッフも、さすがプロ!
目当ての材料を探すことも大変ですが、歩き慣れた職人さんの後を木々をかき分けて追い、
見やすい映像を撮ることもまた大変です。
撮影にあたっては、「いつもの通りに・・・」とお願いしていますが、
日常を撮影することの難しさを感じた場面の一つです。


傾いた東屋の下の職人さんご夫婦。素敵です
職人さんの材料採集の一日を記録に残すため、お昼の食事風景まで撮らせていただきました。
遠くからとはいえ、撮影される方も気が休まらないでしょう・・・。


採ってきた材料は、箕を作るために必要な加工をします。
皮をはがしたり、必要な形にととのえたり、干したり・・・とたくさんの工程と時間を経て、
やっと箕を作る作業に入ることができるのです。
こうした下準備も、大切な情報です。
しっかり撮影しましたので、今後ますます貴重な資料となるでしょう。

あぶったフジは焼き芋のような匂いでした
フジは火であぶってから皮をむきます。力のいる作業です。


手と小刀だけで!
シノダケは表面を平らにしてから4~6つに割り、皮をそいでヒゴを作ります。
職人さんの手を経て、同じ厚み、同じ幅のヒゴができていくのは、芸術的でさえあります。


いい所にいいタイミングで!!
職人芸に見とれていると、職人さんが飼っている猫
(みーちゃん(「箕」からつけたそうです!))が画面に乱入してきました。
撮影にハプニングはつきものです。


箕作りには色々な技術が必要です
ヨツドミは、枝の太さで選別し、ゆがみを整えながら曲げて、2本1組にします。
そのまま数日置いておいて、箕のウデギ(持ち手のこと)として適当な形に整えます。


材料の採集・加工は、天候にも左右されます
フジの皮、ヒゴをよく干します。


このように、冬の間、箕作りのための材料の採集と加工を繰り返し、
必要な量を確保することも箕作りの下準備です。

次回は、いよいよ箕作りと使い方の撮影風景をご紹介したいと思います。
これまで以上に職人さんの本領発揮です!
猫のみーちゃんも、また参加してくるでしょうか!?


近日中に公開予定です。
お楽しみに!

                                  (人文課 宮田)