植物解剖のすすめ―花や実を切ってみよう!―

企画展「植物の進化」のクイズコーナーや夏休み自由研究のお勧めコーナーでは、いくつかの花や実を切って、断面を紹介しています。
たとえばザクロの花を切ると、おしべがたくさん並んでいる様子や蜜を盗まれないように厚い壁で囲まれている様子がわかります(展示を見に来てね)。これも動物との関わり合いの中で進化してきた一例です。
展示で紹介できたのはほんのわずかなので、ここでもう一つ紹介しましょう。
夏、川の土手などに見られるウマノスズクサです。馬につける鈴のような花をつけるツル性の植物です。
ウマノスズクサ①

切らなくても不思議な形の花ですが、切ってみるともっと面白いことがわかります。
ウマノスズクサ②

花の内側には奥に向かってびっしりと毛が生えています。そして、花の中には何匹ものハエがとじこめられています。ウマノスズクサの花は腐ったような匂いでハエを誘い、奥に向かって生えている毛で閉じ込めてしまうのです(切断写真右側)。
ハエは花の中で死んでしまうのでしょうか?いえ、ちゃんと外に出られるのです。しばらくして雄しべが成熟すると、びっしり生えていた毛がなくなってしまうのです(切断写真左側)。すると、体中に花粉をつけたハエは花を飛び出し、また新しい花へ向かいます。腐った匂いを出している花ではハエが花粉を運んでくれるのを待っています。こうして確実に花粉を運んでもらえるように進化したのです。

花や実を切ってみると、外からはわからない不思議な形が見えてくるよ!
さあ、みんなも切ってみよう!
(自然課 富永)