10月6日に紹介したオオスズメバチの観察に続いて、今回はキイロスズメバチの採集から展示物になるまでの過程をご紹介します。
キイロスズメバチは街中でも多く見かけるスズメバチです。
実際に民家や庭などに巣を作ってしまい、業者が駆除しているスズメバチのほとんどはこのキイロスズメバチだと言って過言ではありません。
それほど街中の環境に適応したスズメバチなんですね。
どんな姿かというと・・・
ヤブカラシに飛来したキイロスズメバチ
オオスズメバチに比べると顔つきも穏やか(?)な気がします。
まずは採集・観察です。
宇都宮市内のとある倉庫にキイロスズメバチが巣を作ました。
昼間にエサとりなどに出たハチたちが夕方頃に戻ってくるので、作業は夜に行います。
戻ってきたところを一網打尽にしようという作戦です。
とった巣の大きさはだいたいバレーボールぐらいです。
外側の覆い(外被)を割って、中の子育てをするところ(巣盤)を見てみました。
白い覆いのある部屋にはサナギが入っています。
持ち帰って巣盤のひとつを観察してみました。
サナギの入っている部屋の白い覆いを取り外してみると・・・・
巣盤の中心ではすでに羽化していて、外側に向かってサナギ、幼虫と続いています。
キイロスズメバチは中心から外側へ向かって卵を産んでいくんだろうなと想像できます。
新成虫が今まさに脱出しようとしています。
中から触角や前脚がのぞいています。
さて、ここからが標本作製です。
まずはとってきた巣から成虫をすべて取り出します。
全部で199匹入っていました。
これを展示のときに見栄えのいいように翅や脚をきれいに固定します。
この作業を展翅、展足といいます。
数が多いと時間もかかって、とても大変な作業です。
このまま2週間ほど乾燥させて、体がかたまるのを待ちます。
今回の巣はこの1匹の女王バチからはじまりました。
翅の先はボロボロで、体毛もすりへり、他のスズメバチよりもテカテカしています。
体がかたまったら昆虫箱(ドイツ箱)に並べ、展示に使えるようになります。
あとは展示の趣旨に合わせて、タイトルや説明文をつけたりします。
ちなみに中心の1匹が女王バチです。
博物館などで箱の中に並んでいる昆虫は、このように手間ひまかけて標本としたものです。
昆虫の種類によっては、芯を入れたり、内臓を取り出して脱脂綿をつめたりなど作業はより複雑になります。
自然課:福田)
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