令和6年4月21日(日)講堂にて、とっておき講座「こんなにスミレがあるんだね」を開催しました。
お子さんからご年配の方まで、延べ26名が参加しました。
担当の星学芸員から、先日行われた多気山での観察会での様子を交えて、多気山で見られるスミレを紹介しました。
はじめに、日本の維管束植物の種類は約1万種類あり、その中で栃木県内で確認されているのは約3千種類であること、これは栃木県内に様々な地形・地質が見られることに加え、温度環境も多様化していることが要因であると説明がありました。
では、栃木県で見られるスミレの仲間の種類は? 答えは約65種ほどで、亜種・変種・品種を含めると120種類ほど。多気山では何種類見られるでしょうか?
ここでまずスミレの花の構造について説明がありました。この中で「距」はスミレを知るための大きな手がかりであること、「側弁」に毛があるかないかでスミレの種類を見分けるポイントになる、などちょっとディープな内容の話がありました。
スミレの花の構造
その後、多気山で見られたスミレを観察ポイントをふまえて紹介。特に花が咲いている時期の葉と花が終わってからの葉の大きさや形状の違いをスライドで説明すると、参加者の方々は興味深そうに見ていました。
ワカシュウスミレ
「スミレ」の品種。側弁に毛がないのが特徴。
マキノスミレ(花の時期)
花の時期が終わった後のマキノスミレの葉。
形状がかなり変わる。
最後に、「スミレは種類によってそれぞれ花の時期が異なるので、何回か足を運んでみるといい。」と星学芸員が話し、また「多気山はカシ類が残っていたり、スミレが何種類も見られるなど貴重な場所なので、栃木県としては大事にしていきた場所の一つだと思う。」と締めくくりました。
講座の後、花の時期と花が終わった後の時期の標本を並べて、参加者の方々に実際に見てもらいました。
参加者の間からは「葉の形、全然違うね」という声や「押し葉標本、きれいに押してあるね」などの声が聞かれました。
現在、栃木県立博物館では、テーマ展「世界の!栃木の!!コガネムシ~カブトムシだってなかまだよ~」を開催していますので、ぜひ見に来てください。
また4月27日(土)から、企画展「メジャーもマイナーも大公開!とちぎ江戸絵画の底力~珠玉の上野記念館コレクション~」、テーマ展「"ちらし"も積もれば(宝の!)山となる~引札が彩る下野の正月~」、テーマ展「令和6年度巡回展 栃木の遺跡」が始まりますので、お楽しみに!
(自然課 三宅)
令和6年4月14日(日)宇都宮市の多気山にて、観察会「スミレをさがそう!」を開催しました。
当日は当日は朝から晴れていて、夏日を予想させるような日でした。「観察会日和だね。」「ちょっと暑いね」というような声を聴きながら、お子さんから年配の方まで、計22名の方々が参加しました。
星学芸員から多気山の簡単な説明の後、駐車場に生えているワカシュウスミレの観察から観察会がスタートしました。
多気不動尊へ向かう道の途中にもエイザンスミレやタチツボスミレ、アオイスミレ(葉のみ)、ニョイスミレ、コスミレなどが観察されました。またスミレ以外にもヤマザクラ、キランソウ、キクザキイチゲ、ニリンソウ、カタクリなどが見られました。
ニョイスミレ
コスミレ
参加者の方の質問に星学芸員が答えながら、多気山へ登り始めました。
登りながら、ツクバネガシとアラカシの葉の見分け方やミヤマシキミの葉の香りを嗅いだりしつつ、フモトスミレやマキノスミレ、ミドリミツモリスミレを観察しながら山頂を目指しました。
フモトスミレ
ミドリミツモリスミレ
ちょうどお昼の時間になった頃、宇都宮市内を一望できる展望台に到着しました。そこにもスミレやニオイタチツボスミレ、マルバタチツボスミレの姿が。
スミレ
マルバタチツボスミレ
お昼休憩の後、展望台付近を散策すると、アカネスミレ、サクラスミレも見つけることができました。
アカネスミレ
サクラスミレ
その後山頂まで登り、チゴユリの花を見ながら帰路につきました。
気温が結構上がり、熱中症を心配しましたが、皆無事に下山できました。
今年はたくさんのスミレの花が見られて、いい観察会日和でした。
皆さん、楽しんでいただけましたでしょうか?
現在栃木県立博物館では、テーマ展「世界の!栃木の!!コガネムシ~カブトムシだってなかまだよ~」を開催していますので、ぜひ見に来てください。
また4月27日(土)から、企画展「メジャーもマイナーも大公開!とちぎ江戸絵画の底力~珠玉の上野記念館コレクション~」、テーマ展「"ちらし"も積もれば(宝の!)山となる~引札が彩る下野の正月~」、テーマ展「令和6年度巡回展 栃木の遺跡」が始まりますので、お楽しみに!
(自然課 三宅)
みなさんこんにちは。
もうすぐ大型連休をひかえて若葉もより色深くなり、さわやかな風にさそわれてどこかへ行きたくなる季節になりました。県立博物館はいかがですか?
4月21日の県博デーでキッズツアー「にほん動物いまむかし」を行いました。
その様子を紹介しようと思います。
今私たちが山や野原で見かける動物たちはいつから日本にいたか考えたことはありますか?それぞれいろんな理由でやってきました。
今日は博物館の中で参加者の皆さんと昔と今の動物たちを探すたんけんを行いました。
はじめにモニターで大昔の日本の姿とどうやって動物がやってきたのかを見てもらいました。栃木県は1000万年前は海の底でした。
栃木県の県獣(けんじゅう)は特別天然記念物のカモシカです。昔はなかなか見ることはできませんでしたが、だんだん数が増えて人里にあらわれることもあります。
実際に毛皮にさわってみてもらいました。ふかふかで暖かそうですね。
次に展示室の中の動物をさがして学んでもらいました。氷河期と言われる寒い時代、2万年位前まではマンモスやナウマンゾウ、ヤベオオツノシカなど大きな動物が日本の草原で暮らしていました。
当館の重要文化財、犬型土製品です。縄文時代は犬は家族の一員として大切にされていたようです。
また当館には貴重な資料もあります。これは140年位前、前橋で捕まった二ホンカワウソの胎子(たいじ)です。毛並みもフサフサしていて今にも目を開けそうですね。モニターでみてもらいました。
最後に今問題になっている外来種(がいらいしゅ)について説明しました。どうすれば解決するか考えてみました。ペットは絶対に自然に放してはいけません。
次回のキッズツアーは5月19日の県博デーで行います!
タイトルは「そういえばこどもの日ってなに?」
5月5日はどうしてこどもの日っていうのかな?みなさんでかんがえましょう。
14時から開催です。
予約不要なので、お気軽にご参加ください!
教育広報課 解説員 相子
令和6(2024)年度栃木県立博物館実習生受け入れについて、詳細情報の公開を開始しました。
http://www.muse.pref.tochigi.lg.jp/documents/index.htmlの【栃木県立博物館 学芸員資格取得のための博物館実習関係書類】をご覧ください。
3月16日(土)から始まりました
テーマ展「世界の!栃木の!!コガネムシ~カブトムシだってなかまだよ~」
17日(日)には、とっておき講座 「あれもこれもコガネムシ!?~魅力あふれる昆虫~」を開催しました。
講師は、当館で昆虫を担当する栗原隆(写真右)&永嶋宏行(同左)です。
35,000種のいるコガネムシの仲間(コガネムシ上科)を紹介する今回のテーマ展では、世界のコガネムシ160種、栃木のコガネムシ140種の標本が展示されています。
コガネムシってこんな虫ばかりではないそうで、
クワガタムシもカブトムシもフンコロガシもコガネムシの仲間!
栗原氏からは、なぜコガネムシの仲間がこんなにも多様なのかという「分類」のお話。
形、食べ物、生息場所がすごく多様で、それを把握することは難しいので、分からないことも多く、分類することがほんとうに難しいとのこと。
続いて、永嶋氏から展示の見どころを紹介。
カブトムシのような角をもつコガネムシ、デザインが豊富なハナムグリ
アジアの森にいる大きなクワガタムシ。
巨大なコガネムシ、ヘラクレスオオカブト
背中がピカピカのプラチナコガネ。鏡のように周りの景色が映ります。
サバンナにすむフンコロガシに、エジプト文明の壁画にも描かれているサケルタマオシコガネ、ウサギの耳のような角を持つカブトムシと、まさに、あれもこれもコガネムシ!
見てほしいところが、たくさんあります。
140種の栃木のコガネムシの展示では、ひとつしかない栃木県産の標本も展示されています。
コガネムシを観察できるポイントも紹介しているので、ぜひ、野外でコガネムシを探してほしいと話していました。
昆虫愛のあふれるコンビの展示「世界の!栃木の!!コガネムシ~カブトムシだってなかまだよ~」は、9月23日(月)までとなっています。
これから夏までコガネムシがたくさん出てきます。
展示を見て、コガネムシを探しに出かけてみてください。
・展示解説 14:00~14:30
4月6日(土)、8月17日(土)
・観察会「鬼怒川でコガネムシをさがそう」※要予約
5月5日(日)9:30~11:30 鬼怒川河川敷
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ただいま博物館では
テーマ展「下野薬師寺と龍興寺~鑑真和上とゆかりのある名刹~」(3/31まで)
テーマ展「昔のこと知ってっけ?~道具を知れば暮らしが見える~」(3/31まで)
も開催中です。
また、令和6年度4月からの催し物案内も当ホームページに掲載されております。
企画展のほかにも講座や観察会を予定しておりますので、ぜひご参加ください。
ご来館をお待ちしております。
(自然課 猪狩)
みなさんこんにちは。
だんだんと暖かくなり花粉がとてもつらい時期になりました。
3月17日の県博デーでキッズツアー「いろいろな動物の歯を見てみよう」を行いました。
その様子を紹介します。
みなさんは歯をどのような時に使いますか?
ご飯を食べるときに使うと答える方が多いと思います。動物も食べるものによって特徴的な歯などを持つことがあります。
みなさんもご飯を食べるとき、食べ物を切るときはこの歯...硬いものを食べるときはこの歯...と考えてみると面白いかもしれませんね。
まず最初に紹介する動物はカタツムリ。
カタツムリの舌の上には細かい突起が並んでいます。この突起のことを歯舌といいます。細かい突起はやすりのようになっていてこれを使ってコケを削り取って食べています。
この歯舌はカタツムリの他にイカ、タコ、貝などが持っています。
続いて、展示室1に移動して歯を見ていきましょう。
始めにクジラの紹介をします。化石はオオガネクジラという名前で広く知られているものです。クジラには歯があるのでしょうか?
クジラには歯があるハクジラと歯が無くヒゲが口の中にあるヒゲクジラがいます。このオオガネクジラは1000万年前にいたヒゲクジラの一種と考えられています。
これは縄文時代の人の骨です。
縄文時代の人も虫歯の人はいたようです。虫歯には気をつけましょう...
最後に展示室2の動物を見ていきましょう。
写真の右の方にいる大きな魚はコイです。
コイにエサをあげたことはありますか?その時に「これがコイの歯か!」と思ったことがある方はかなり少ないはずです。
コイの歯はのどの辺りにあるため、なかなか目にすることがありません。この歯のことを「咽頭歯」といいます。
この歯はとてもじょうぶで、貝がらを砕いてしまうくらい硬いです。
キッズツアーに参加してくださった皆さま ありがとうございました。
次回のキッズツアーは4月21日「にほん動物いまむかし」です。
どうぞおたのしみに!!
教育広報課 解説員
みなさん、こんにちは!雪が降るほど寒い日になることもあれば、暖かい日も増えてきました。
そろそろ中央公園でも春の植物を見ることができそうです。
さて3月3日(日)博物館でやってみよう「十二単を着てみよう」を行いました。ご参加いただいた皆さんありがとうございました。
当日の様子を少しご紹介します。
十二単は平安時代、身分の高い女性が着ていた服です。
多くのお客様に体験していただくため十二単の一部を羽織っていただきました。
十二単の十二とは、「たくさん」という意味があります。たくさんの単を着ている服、というのが十二単です。
夏は枚数は少なく、冬は多くを着こんで季節に応じて着る単の枚数を変えていました。なので、必ずしも12枚の単を着ているわけではないんですね。
そして重ね着するので当然重たい。着ていただいたお客様から「重ーい!」との声が上がっていました。
小さいお客様には十二単の一番上に着ている「唐衣(からぎぬ)」を羽織っていただきました。
みなさんとっても素敵ですね!
今回の体験を通して平安時代の人の暮らしに思いを馳せてくださったら嬉しいです。
次回の博物館でやってみようは3月10日(日)「瓦の重さを当てよう」です。
こちらは予約不要です。みなさんのご参加をお待ちしております。
教育広報課 解説員
改修工事で屋内施設休館中の科学館が、栃木県立博物館へ!
当日のスケジュールが決まりました!
当日は駐車場が混みあうことが予想されます。
公共交通機関をご利用になるか、中央公園入り口側の駐車場をご利用ください。
日時:3/23(土)・24(日) 両日 10:00~12:00 / 13:00~16:30
会場:栃木県立博物館 玄関ポーチ等
料金:参加無料 ※博物館の展示場をご利用の場合は観覧料がかかります。
2月25日(日)、「あつまれ!自然好き」を開催しました。
館長による開会のあいさつ
栃木県内の自然を観察するグループが集まり、それぞれが調べたこと、活動したことを発表しました。今年は6グループが参加しました。
小学生から大学生、大人と幅広い年齢層の方々が発表者として登壇しました。
発表中のみずほの自然探検隊のみなさん
発表内容も幅広く、林づくり、自然探検隊の活動報告、キノコ、淡水海綿、カワトンボ、タカの渡りなど多岐にわたっていました。
「あつまれ!自然好き」に出席された人々の間で、情報が共有され、交流が進み、さらなる活動・研究の発展につながればいいなと思います。
(自然課 井上)
みなさん、こんにちは!
日ごとに暖かい一日が多くなり、もう春がすぐそこに来ていることを感じられるようになりましたね。
さて、2月25日に博物館でやってみよう「貝合わせ体験」を行いました。
その時の様子をご紹介します。
もうすぐひな祭り。ひな壇(だん)飾りの中に貝桶(かいおけ)を置いたり、蛤(はまぐり)のお吸い物をいただく習慣があることを知っていますか。じつは貝合わせという昔の遊びに関係しています。
本来の貝合わせは平安時代に貴族が貝の美しさや珍しさ、それに添えた和歌の出来栄え(できばえ)を競う遊びでした。それに対して貝の上下を分けて複数の伏せた貝の中から対になるものを見つける遊びを貝覆い(かいおおい)と言います。時代が下がるにつれてこちらも貝合わせと呼ばれるようになりました。主に大きさや見た目の良いハマグリが使われて同じ貝の裏側に関係のある絵などを入れて楽しみました。また一組の貝は他の貝殻(かいがら)とは決して合わないことから、貝とそれを収納する貝桶は夫婦円満の象徴(しょうちょう)とされて江戸時代は公家や大名家の嫁入り道具となりました。ひな壇飾りの元にあたります。当館にも昔の貝や貝桶があります。
とってもきれいですね
そしてこちらの写真が、貝をいれておいた「鉄線唐草九曜紋散貝桶(てつせんからくさくようもんさんかいおけ)」という貝桶です。
皆さんにも遊んでもらいました。遊び方は神経衰弱と似ており、このように貝を円形に並べ、真ん中に出した貝と対になる貝をさがします。
ポイントは、貝の表面をよく見ること。対となる貝は、表面の模様が同じです。
また裏面には、同じ絵や関連のある絵が描かれています。月とウサギで正解です!(こちらで使用しているのは、以前の体験活動でのビノスガイを用いて作成したものです。)
いよいよチャレンジ!うまく見つけられたかな?
同じ貝ならぴったり合うはず。
またそれぞれ自分だけの貝合わせを作ってもらいました。関係のある絵をかいてみましょう。細かいところまでていねいにかいていますね。
すてきな貝合わせができましたね。ぜひお家にかざって楽しんでください。
小さな貝の中に広がるみやびの世界を体験してもらいました。少しでも昔の遊びに興味をもってもらえたら幸いです。
次回の博物館でやってみようは3月3日(日)ひな祭りの日開催の「十二単(じゅうにひとえ)を着てみよう」です。
こちらは予約不要です。みなさんのご参加をお待ちしております。
教育広報課 解説員 相子 北村