6月の県博デーのご案内

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もっとみなさんに博物館を楽しんでいただくため、毎月第3日曜日の家庭の日に合わせて「県立博物館の日イベント 県博(けんぱく)デー」を開催しています。
ご家族と、ご友人と...博物館でいろいろ学びながら楽しく過ごしてみませんか。

【開催イベント等】※みーたん"おさんぽ"10:00~12:00館内各所
○スペシャルイベント サイエンスショー
 「液体窒素でアレコレカチコチ」
  10:30~11:00
11:30~12:00
 場所:講堂
○キッズツアー
 「フンチュウってなぁ~んだ?」
14:00~14:30 展示室2(予約不要)
○学芸員とっておき講座(定員150名 予約不要)
「名品ズラリ!!はなやか上野記念館コレクション」
13:30~15:00 講堂
○クイズにチャレンジ
参加者に博物館限定缶バッジをプレゼント!子ども向けですが、親子でどうぞ♪
10:00~12:00(受付は11:30まで) 受付はスロープ入口
○百人一首読み札ぬり絵
9:30~なくなり次第終了 みーたん広場6月無題.jpg

10月30日(日曜日)をもちまして、開館40周年記念展「鑑真和上と下野薬師寺~天下三戒壇でつながる信仰の場~」は閉幕いたしました。

最終週はいっそうのにぎわいで、最終日はさらに大勢のお客様にご来館いただきました。

最後の最後の時間までご観覧くださり、誠にありがとうございました。

 

そして最終日には、入館者数が2万人を突破しました!!\(^o^)/

2万人目のお客様は、栃木市よりお越しの大和田和歌子様、智紀様(小四)、晴紀様(年長)のご家族でした。

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ポスター等で展覧会のことを知り、ぜひ来たいと思われたそうです!

今日は駐車場がいっぱいで4回も周ってようやく駐車できたところで、2万人目にめぐり合わせたとのこと。

2万人目となってとても嬉しいとおっしゃってくださいました。

諦めずにご来館くださり、どうもありがとうございました。

また、1万人セレモニーと同様に、館長より記念のお品が贈呈されました。

内容は...

本展図録、当館招待券、オリジナルトートバッグ、オリジナルキーホルダー、オリジナル「下野薬師寺ブレンド」ドリップパック、博物館レストランペアお食事券

です。このうち、トートバッグは大好評につき会期半ばで売切れとなっていたのですが、なんと!みーたんが譲ってくれました!!

みーたんのやさしさに感謝 (>_<)

 

展覧会は閉幕しましたが、学芸員の仕事はまだまだ終わりません。

閉幕翌日より撤収を開始し、すでにほとんどのお品が丁寧に梱包され、箱にしまわれていきました。

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これから約ひと月をかけてそれぞれの拝借先に返却に伺います。

すべてのお品が無事にお帰りになるときまで、担当者一同、慎重を期して臨みたいと思います。

 

最後に改めまして、ご来館いただいた皆さま、そして本展を支えてくださったすべての皆さまに深く御礼申し上げます。

 

(人文課・久野)

連続講演会 下野薬師寺をめぐる歴史と美術③

10月22日(土曜日)。

連続講演会第三回目が開催されました。

今回は、本展調査委員である千田孝明先生(日光市観音寺御住職)と永村眞先生(日本女子大学名誉教授)よりご講演いただきました。

 

千田先生からは、「下野薬師寺と勝道、そして円仁―鑑真の法脈を視野に入れて―」という題目で、戒壇が置かれて間もない下野薬師寺で修行し、鑑真の弟子・如宝と恵雲に学んだとされる勝道と、鑑真の弟子・道忠の門流にあった円仁を中心に、鑑真渡来の影響についてお話しいただきました。

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永村先生からは、「中世における「下野薬師寺」の再興」という題目で、鎌倉時代に下野薬師寺を中興した慈猛とその弟子である審海を中心に、中世の下野薬師寺における真言と戒律についてお話いただきました。

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千田先生、永村先生、貴重なご講演を賜り誠にありがとうございました。

 

また、同日に開催したワークショップ「古代瓦の3Dぬり絵」は、午前だけでなく午後も引き続き行い、準備した材料はすべてなくなりました!

ご参加くださった皆さまありがとうございました。

 

以上で関連イベントの予定はすべて終了しましたが、展覧会の開催日数はあとわずか!!

なかなか出陳の機会のない資料もございますので、どうぞ最後までお見逃しなくお出かけいただければ幸いです\(^o^)/


【図録販売中】

先生方の講演の内容をもっと知りたい方は、本展図録をご参照ください。

講演いただいた先生方の最新論文が掲載されております。

図録は1冊2,500円で、当館ミュージアムショップにおいて販売中です。

通信販売も承っております。

https://tochitomo01.wixsite.com/my-site

(人文課・久野)

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9月23日に行ったワークショップ「古代瓦の3Dぬり絵」の再びの開催が決定いたしました!

【開催概要】

日時:10月22日(土曜日)10時~11時(材料がなくなり次第終了)

場所:当館1階ロビー 下野薬師寺瓦レリーフ前(入館無料スペース)

参加費:200円(材料代として) 

古代瓦の使われ方や文様について思いをめぐらしつつ、ミニチュア模型に色をぬってもらうワークショップです!

用意している模型は、いずれも「鑑真和上と下野薬師寺」展で実物展示をしている栃木県内の古代瓦ですので、展覧会とワークショップの両方でお楽しみいただければ幸いです。

前回の反省のもと、ぬり絵をするだけではなく、古代瓦について考えたり知ってもらったりするきっかけとなるよう、新たにワークシートもつくってみました。

子ども大人に関わらず、多くの皆さまのご参加をお待ちしております\(^o^)/


~ワークショップ「古代瓦の3Dぬり絵」裏話~

前回9月23日のワークショップに至るまでのお話です(^^ゞ

 

事の起こりは昨年の冬?頃、「鑑真和上と下野薬師寺」展はかっちりとした内容なので気軽に楽しめるワークショップが何かしたい......、と思っていたところ、考古作業室に掛けられていた古代瓦のストラップが目にとまりました。

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(今回のワークショップで用意している模型にはストラップは付属しません)

過去、3D計測事業で瓦を計測し、ミニチュアに加工してシリコン型を作り、その型に石膏や樹脂を入れてできたものに色をぬるというワークショップをしたことがあったようです。

 

お!!なんてぴったりなんだ、下野薬師寺の瓦じゃないか!

と喜んだのは、当時まだ瓦の文様の区別がついていなかったふつつか者の私です。

「いいね~、やろうやろう!!」 と展覧会担当者内で盛り上がったのもつかの間、考古担当より、

「でも、下野国分寺と那須官衙の瓦しかないからねぇ...」 との一言。

たしかに...!館内の下野薬師寺の創建瓦のレリーフを確認すると、私が下野薬師寺の瓦と思っていたのは下野国分寺の瓦でした。

【開館当初からある館内のレリーフ】←本展撮影スポット!ワークショップ開催場所はここ。

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決定的な違いは、下野国分寺は唐草文に囲まれていますが、下野薬師寺は面違鋸歯文というギザギザ文様になっているのです。

 

困った、とってもいいワークショップだと思ったのに......

いろいろ迷走した結果、しもつけ風土記の丘資料館さまで同じようなワークショップをすで行っていらっしゃることが判明しました。

そちらで使用されている型から型を複製させていただけることとなり、下野薬師寺の鬼瓦(創建期)・軒丸瓦(官寺昇格期)、下野国分寺の鬼瓦の3種を入手することが叶いました。

しもつけ風土記の丘資料館の皆さま、ここに記して厚く御礼申し上げます。

 

さて、型から型を複製する、とは?そしてワークショップ用の模型はどうやってできたのでしょう?

①しもつけ風土記の丘資料館さまの型から石膏型をつくる

【できあがった石膏型】

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・・・瓦の范型を持って移動した古代の瓦職人に思いを馳せる・・・

②石膏型を原型とし、シリコン型を作成する →型の完成

【石膏型にシリコンを流し固めているところ】

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【石膏型をはずしてシリコン型完成】

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③シリコン型に樹脂(※)を入れる   ※次回開催時は、石膏を使用します。

【9月22日 博物館実習(考古・美術)の学生さんたちと一緒に行いました】

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④シリコン型から取り出す →模型の完成

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展覧会開幕前は展示準備に追い込まれたため、シリコン型の作成以降の手順は開幕後にようやくとりかかるという感じで、失敗しないか、うまくできるのか、と不安になりながら、なんとか形になってほっとしたのはワークショップ前日のことでした。

お手伝いくださった実習生の皆さん本当にありがとうございました!!

当日も考古の博物館実習のお二人とボランティアの方々に助けられながら、盛況のうちに終わることができました。

どうもありがとうございました<m(__)m>

そして、ただいま、10月22日に向けて模型を量産準備中です!!

ぜひとも、ワークショップのご参加をお待ちしております\(^o^)/

(人文課・久野)

土にもぐったキノコを探そうin根本山

2022年10月15日(土)、真岡市根本山にて、根本山自然観察センター・栃木県立博物館共催、日本地下生菌研究会協力で、根本山しぜん体験教室「土にもぐったキノコを探そう」が開催されました。

土にもぐったキノコってなんでしょう?
森へ探しに行く前に、当館菌類担当の山本航平学芸員からお話を聞きます。hanasi.jpg

キノコと聞いて頭に浮かぶのは地上に生えているキノコではないでしょうか。シイタケ、シメジ、ヒラタケ、チチタケ(ちたけ)、ベニテングタケなどなど、おいしいもの・毒のあるものたくさんあります。

土にもぐったキノコを「地下生菌」といいます。地上に生えるキノコが進化して、くるりと丸い形となって土の中で生きています。世界三大珍味のひとつトリュフも地下生菌の仲間です。

根本山での地下生菌の調査は、今日が初めて。
見つかれば、根本山での初確認となります。みんなで頑張ってさがしましょう!

地下生菌はマツやドングリの木と共生しているので、今日はコナラやクヌギの林で、小さな熊手で落ち葉を軽くかき分けます。探したあと、かき分けた落ち葉や土を元に戻すのが、地下生菌さがしのマナーです。

山本学芸員と日本地下生菌研究会の大前さんのご指導のもと、湿り気がたまりやすい、斜面の下の方を探します。

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ひとつでも見つかるといいなーとスタッフ一同思っておりましたが、

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➀ヒメノガステル属の一種。ワカフサタケ属に近縁な地下生菌です。

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②シラタマタケ。スズメバチに胞子を運んでもらいます。

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③ツチダンゴの仲間。とても小さくて、見つけにくいので図鑑にも載っていないそうです。
「よく見つけたね」専門家の大前さんも感心していました。

約2時間で3種類も見つかりました!
地下生菌のほかにも、キノコや小さな虫、いろいろな生き物を見つけることもできました。下を向いて歩くと「これなに!」がたくさんあります。

根本山自然観察センターでは、他にも自然に親しむ行事が予定されています。
この観察会を運営していた自然観察指導員の木村さん、相田さんも「楽しいことがたくさんあるよ」と待っています。ぜひ、足をお運びください。

************
栃木県立博物館では、開館40周年記念特別企画展「鑑真和上と下野薬師寺~天下三戒壇でつながる信仰の場~」が開催中です。国宝の薬師如来立像など貴重なものが多数展示されています。開期は10月30日(日)までと残りわずかとなってまいりました。この機会をお見逃しなく!ご来館をお待ちしております。                           (自然課 猪狩)

おかげさまで大好評いただき、入館者数が1万人を迎えました!!

皆さま、どうもありがとうございました\(^o^)/

 

記念すべき1万人目のお客様は、小山市よりお越しの木村卓己様・京子様ご夫妻でした。

入館者1万人目となって、大変びっくりされておりました!

新聞と栃木県の広報で展覧会をお知りになったとのことで、以前に唐招提寺に訪れたことがあり、下野薬師寺もお住まいに近いことから興味をひかれ、お出でくださったとのことでした。

【1万人目のお客様と館長とみーたん】

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館長より記念のお品が贈呈されました。

その内容は......

本展図録、本展招待券、オリジナルトートバッグ、オリジナルキーホルダー、オリジナル「下野薬師寺ブレンド」ドリップパック、博物館レストランペアお食事券(特別企画展限定メニュー・チャイニーズプレート)

です!!

ご帰宅後もお楽しみいただければ幸いです。

お越しいただきまして、誠にありがとうございました。


これら記念品となった図録・グッズはミュージアムショップで販売中です。

さらに、本展にちなんだ博物館レストランの限定メニューも、まだの方はぜひご賞味ください。

【チャイニーズプレート 1200円(税込)】※写真のドリンクはセットに含まれません。

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満腹満点の自家製豚挽き肉パテとよだれ鶏です。

展示会場が広いので、博物館レストランでお昼休憩をはさんでのご観覧もオススメです。

開館40周年の博物館と同い年の中央公園でお散歩してもいいですね♪

チケット裏面の日付印をご提示いただければ、当日に限り何度でも観覧可能です。

たまには、ゆっくりとした充実の1日を博物館で過ごしてみてはいかがでしょうか?

(人文課・久野)

連続講演会 下野薬師寺をめぐる歴史と美術②

10月9日(日曜日)、連続講演会第二回目が開催されました。

今回は、本展調査委員である川瀬由照先生(早稲田大学教授)と山本勉先生(鎌倉国宝館館長・半蔵門ミュージアム館長)から、日本彫刻史についてのご講演をいただきました。

 

川瀬先生からは、「仏像史における鑑真と唐招提寺の意義―展示作品を中心に―」という題目で、唐招提寺の国宝木彫像と鑑真和上坐像について、鑑真の渡来前後における造像技法や材質の変遷、そしてその背景となる思想についてお話しいただきました。また、冒頭には川瀬先生にも立ち会いいただいた借用時の様子など、展覧会ができるまでの過程についてもご紹介くださり、恐縮です。

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山本先生からは、「空飛ぶ薬師如来立像のひみつ 福島県南会津町田島・薬師寺薬師如来像」という題目で、下野薬師寺から飛来したという伝説を持つ田島薬師寺の薬師如来立像について、飛来伝説の霊験を表す生身仏としての背景や造形的特徴をお話しいただきました。どのようなイメージを託されて本像が制作されたのか、明快丁寧なご説明に理解が深まりました。

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川瀬先生、山本先生、懇切なご講演を賜り誠にありがとうございました。


以前のブログでもお伝えのとおり、人気につき連続講演会③(10月22日)は予約満員となっており、キャンセル待ちの状況です。

今度の土曜日・日曜日には、担当学芸員が展示資料の見どころをご紹介する「とっておき見どころ解説」の開催も予定しておりますので、よろしければ足をお運びください。

そちらはまだまだ空きがございます。

【担当学芸員による 「とっておき見どころ解説」】

1、9月25日(日) 歴史(古代)・考古分野について 終了

2、10月15日(土) 美術分野(彫刻〔古代〕・絵画)について

3、10月16日(日) 中世以降の美術(彫刻)・歴史分野について

各日 午後1時30分 ~ 午後3時、当館講堂(定員150名)、要予約(無料)

 

【図録販売中】

先生方の講演の内容をもっと知りたい方は、本展図録をご参照ください\(^o^)/

講演いただいた先生方の最新論文が掲載されております。

図録は1冊2,500円で、当館ミュージアムショップにおいて販売中です。

通信販売も承っております。

https://tochitomo01.wixsite.com/my-site

 

(人文課・久野)

秋のお出かけが少しでも楽しくなるよう、急きょスペシャルロビー展示「誕生石と、その原石たち」を開始しました!

宝石の姿を知っている人は多いですが、その原石の姿を知っている人は少ないと思います。

誕生石に使われている宝石と原石を見比べて楽しんでください。

場所は2階ロビーです。子どもも大人も楽しめる内容になっておりますので、ぜひお立ち寄りください。

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早くも「鑑真和上と下野薬師寺」展は会期中盤を迎え、今週末の3連休(~10月10日)までで前期展示の期間が終了となります。

前期後期の展示替えの詳細については、出品目録をご参照ください。 ↓ ↓

http://www.muse.pref.tochigi.lg.jp/exhibition/kikaku/20220917ganjin/pdf/ganjin_mokuroku.pdf

今回は、あと数日で見られなくなってしまう資料のなかから、いくつかをピックアップしてご紹介したいと思います\(^o^)/

 

【栃木県にゆかりある鎌倉時代の武家の女性の筆跡】

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№21 東征伝絵巻 巻四   永仁6年(1298) 唐招提寺 重要文化財 

戒律を日本に伝えた鑑真さんの生涯を描く絵巻です。

鎌倉時代に戒律復興に努めた極楽寺(鎌倉市)の忍性によって、唐招提寺に納められました。

巻四は、6度目の挑戦によりついに唐から日本への渡航を果たすという場面が描かれています。

絵の素晴らしさもさることながら、巻四で注目されるのは詞書の筆者についてです。

「東征伝絵巻」全五巻は、巻ごとに詞書の筆者が違うのですが、巻四の奥書には、「筆師 足利伊予守後室」とあり、足利家時の妻(後室は未亡人のこと)の手によることがわかります。

彼女の父方は北条氏で、祖父の北条重時は忍性が住持を務めた極楽寺の開基という縁がありました。さらに言えば、「足利伊予守後室」は足利尊氏の祖母にあたる人物でもあります。

力強く堂々とした筆跡が見どころです。

後期は、東大寺での授戒場面などを描いた巻五と展示替えになります。

 

【作品保護のため、前期のみの展示に変更となります】※出品目録と異なります。

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№53 東大寺戒壇院指図(東寺百合文書) 鎌倉時代(12~13世紀) 京都府立京都学・歴彩館 国宝

教王護国寺(東寺)に伝来した東大寺戒壇院内部の様相を示す図面です。

天平勝宝7歳(年)(755)に建立された戒壇院は、治承四年(1180)に焼失しており、この資料は鎌倉時代の再建後の様子を伝えるものと考えられています。

『吾妻鏡』によると、鎌倉時代の戒壇院造営は、源頼朝の命をうけた千葉常胤と下野の武将小山朝政によるものといいます。

( 担当者より↓ )

これまでほとんど知られていなかった資料です。今回の展示が実質初公開ですので、お見逃しなく!!

 

【下野薬師寺の戒壇設置を伝える現存最古の写本】

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№91 東大寺要録 巻一 仁治2年(1241) 醍醐寺 重要文化財

『東大寺要録』は、東大寺の諸院、所領、諸会、別当、末寺の由来などに関する史料集で、そのうち醍醐寺に所蔵される本資料は現存最古の写本です。

そして、巻一の注目点としては、天平宝字5年(761)正月21日に淳仁天皇の勅により、下野薬師寺と筑紫の観世音寺に戒壇が建立され、授戒が行われたとの記述が見えることです。

正史である『続日本記』の同日条にはこの記事がないため、下野薬師寺の戒壇設置を知るうえで大変貴重な資料といえます。

 

【研究者からも初めて見た!とのお声多数あり!?】

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№94 七大寺年表 上巻 永万元年(1165) 大須観音宝生院 重要文化財

『七大寺年表』は、天武11年(682)から延暦21年(802)までにおける仏教関係記事を編年体で記載する資料です。

上巻である本資料には、『続日本紀』において天平勝宝6年(754)に下野薬師寺に下向したと記される、行信という高僧に関する記述が見えます。

行信さんは夢殿で知られる法隆寺東院伽藍を建立した人物です。

こちらもほとんど知られていなかった資料とのことで、ぜひ貴重な機会をお見逃しなく!

 

【実は口を開けています】

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№133 忍性菩薩像 鎌倉時代(14世紀) 称名寺(神奈川県立金沢文庫保管)

№21を唐招提寺に施入した忍性さんは、下野薬師寺で学んでいた審海さんを称名寺(横浜市)の長老に推挙した人物でもあります。

やや長い頭頂部に赤みのある大きな鼻は、忍性さんのお顔の大きな特徴となっています

没後間もない時期の制作と考えられており、細い墨線により緻密かつ明快に描かれたその風貌は、実際の人物を写す肖像画が隆盛した鎌倉時代ならではの作品といえるでしょう。

とくにのど元を見ると、皮膚の薄さを感じるような筋張った描線により、老齢の人物の特徴を写実的に捉えていることがよくわかります。

 

~前期後期の期間とは異なる変則的な展示替え~

【2週間ごとに展示替えをしています】

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№26 長屋王家木簡 奈良時代(8世紀) 奈良文化財研究所 重要文化財

№27 長屋王家木簡 奈良時代(8世紀) 奈良文化財研究所

奈良時代の皇族長屋王の邸宅跡から出土した木簡です。このうち、令和2年に1669点が国の重要文化財に指定されました(No.26)。

木簡の記載からは、長屋王の邸宅には写経や仏像制作などに携わったさまざまな技術者が存在したことが確認されます。

そこには、信仰篤い仏教徒としての長屋王の活動の一端が垣間見えます。

№26と№27の木簡は作品保護のため、2週間ごとに、№26は2点ずつ、№27は1点ずつ展示替えを行っています。

いま展示されている木簡は、10月16日(日曜日)までの展示の予定ですので、ぜひご覧ください。


今回ご紹介した前期展示資料のほか、多数の資料が展示替えの予定となっております。

まだ観ていないという方は、ぜひ前期が終わる10月10日(月曜日・祝日)までに足をお運びいただければ幸いです。

そして、もちろん後期も魅力的な資料が盛りだくさん!

後期展示もぜひともお楽しみに、何度でもお出でくださいませ。

(半券でM割に→ http://www.muse.pref.tochigi.lg.jp/info/open.html

 

《担当学芸員による「見どころとっておき解説」 予約募集中》

1、9月25日(日) 歴史(古代)・考古分野について  【終了】

2、10月15日(土) 美術分野(彫刻〔古代〕・絵画)について

3、10月16日(日) 中世以降の美術(彫刻)・歴史分野について

各日 午後1時30分 ~ 午後3時、当館講堂(定員150名)、要予約(無料)

 

(人文課・久野)

関東地区博物館協会5県連携事業スタンプラリー開催

関東地区博物館協会連携事業として『関東地区博物館協会スタンプラリー』を開催します!!
加盟している約80館園のうち3つの館のスタンプを集めていただくと、その場で先着30名様に「関東地区博物館協会オリジナルクリアファイル」をプレゼントします。(※ 各館園によって開館時間や休館日が異なります)
期間は10月1日(土)~11月30日(水)となります。

お知らせチラシ 関東地区博物館協会5県連携事業案内文.pdf