太平洋戦争終結から77年が経過し、戦争を実際に体験した世代は徐々に減りつつあります。それにともない、戦争遺品や戦争体験に関わる記録が散逸したり忘れられたりしてしまう傾向が顕著となり、戦争の“記憶”の風化を防ぐことが後に続く世代のとっての課題ともなっています。
近年、当館に対しても戦争関連資料の寄贈の申し入れが増えており、「戦争にまつわることを後世に伝えるためにも遺しておいたほうがよいのではないか」という寄贈者の訴えをしばしば耳にします。メディアなどで戦争遺品の現状と課題が取り上げられることも、公的な機関への寄贈を後押しする動きとなっているようです。当館ではこのような流れを受けて、資料の状態や性質、収蔵スペースの問題、整理作業の困難さなどと向き合いながら、戦争の体験や記憶を受け継いでいく重要性を鑑み、受入れのために最大限の努力を払っています。
本展では、過去10年ほどの間に当館が寄贈を受けてきた戦争関連資料を中心に、戦争や軍隊と本県の関係や、当時の市民生活の実態などが明らかになるものに焦点を当てて展示し、モノが語る戦争の“記憶”を引き継いでいくこと、そして戦争関連資料を保存し後世に受け継いでいくことの重要性についてお伝えします。