開館四十周年記念特別企画展
鑑真和上と下野薬師寺
~天下三戒壇でつながる信仰の場~
企画展概要
下野薬師寺は、古代下野の仏教文化を象徴する名刹です。創建は飛鳥時代にさかのぼり、大宝律令の選定者の一人である下毛野古麻呂を生んだ豪族下毛野氏の勢力下に成立したと考えられます。
奈良時代には日本屈指の大寺院との位置づけから、唐僧鑑真による授戒作法を執り行う戒壇が東国で唯一設置され、東大寺(奈良県奈良市)、観世音寺(福岡県太宰府市)と並び、天下三戒壇と称されました。以後、東北・関東地方十か国の授戒と信仰の中心寺院となり隆盛を誇りました。
平安時代に一時衰退しましたが、鎌倉時代に慈猛が戒律と真言密教を柱として再興を果たしています。南北朝時代には足利尊氏によって安国寺に改称され、以後600年以上にわたって安国寺として存続しましたが、平成29年(2017)の平成の大修理を契機に寺名を下野薬師寺に復古しました。
下野薬師寺には、鑑真の高弟で「持戒第一弟子」とされた道忠をはじめ、道鏡や行信といった日本屈指の高僧が下向したほか、同寺から輩出された人物として、日光開山の勝道、金沢北条氏の菩提寺である称名寺(神奈川県横浜市)の開山に招かれた審海が知られています。
当館が開館して40周年という節目の年にあたり、天下三戒壇の一翼を担った下野薬師寺について再評価することで、栃木県の豊かな歴史と文化を再認識していただければ幸いです。
会期
2022年9月17日(土)
~
2022年10月30日(日)
開館時間
午前9時30分
~
午後5時
(入館は午後4時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(祝日を除く)、9月20日(火)、10月11日(火)
観覧料
一般:1250(1030)円
大学 高校生:620(510)円
中学生以下:無料
※( )内は20名以上の団体またはM割料金
展示構成と主な展示作品
- 【プロローグ 伝戒の師 鑑真和上】
-
日本に戒律を伝えた鑑真和上の人物像について紹介します。
鑑真和上坐像(御身代わり)
平成25年(2013)
奈良・唐招提寺
- 【第1章 古代下野のすがた】
-
古代の下野の様相とその特徴について紹介します。
国宝 元暦校本 万葉集 巻二十(古河本)
平安時代(12世紀)
東京国立博物館
- 【第2章 鑑真和上の来日と戒律の伝来】
-
鑑真和上の来日による授戒作法の伝来、東大寺・観世音寺への戒壇の設置について紹介します。
重文 東征伝絵巻 巻五
永仁6年(1298)
奈良・唐招提寺国宝 薬師如来立像
奈良時代(8世紀)
奈良・唐招提寺
- 【第3章 天下三戒壇 下野薬師寺の創建と発展】
-
奈良時代に東大寺、観世音寺と並び天下三戒壇と称された下野薬師寺の創建と発展について紹介します。
薬師寺縁起(天正本)
江戸時代(17~18世紀)
栃木・下野薬師寺下野薬師寺出土瓦
飛鳥時代(7世紀)
栃木・下野市教育委員会
- 【第4章 下野薬師寺と人物・信仰のひろがり】
-
下野薬師寺にゆかりある人物、信仰、文化の広がりについて紹介します。
重文 勝道上人像
正中2年(1325)
栃木・輪王寺
- 【第5章 下野薬師寺の衰退と復興】
-
平安時代の衰退から鎌倉時代の復興、そして南北朝時代の安国寺への寺名改称について紹介します。
国宝 下野薬師寺僧慶順解(東大寺文書)
寛治6年(1092)
奈良・東大寺
- 【エピローグ 現代につながる信仰の場 下野薬師寺】
-
平成の大修理を契機とした下野薬師寺への寺名復古と、唐招提寺との間に生まれたご縁について紹介します。
唐招提寺薬師寺如来立像 復元模刻 宮木菜月作
原資料:奈良時代(8世紀)
奈良・唐招提寺
関連イベント
記念講演会 「鑑真和上と戒律の伝来」-
日時 9月17日(土)午後1時30分~午後3時30分講師 東野 治之 氏 (日本学士院会員 武田科学振興財団 杏雨書屋館長)場所 当館講堂(定員150名)備考 要予約 ※聴講には当日の特別企画展観覧券が必要です。
※定員に達しました。
連続講演会 「下野薬師寺にまつわる歴史と美術1」-
日時 9月18日(日)午後1時 ~ 午後4時20分講師 佐藤 信 氏(東京大学名誉教授(日本古代史))
須田 勉 氏(元国士舘大学教授(考古学))場所 当館講堂(定員150名)備考 要予約 ※聴講には当日の特別企画展観覧券が必要です。
※定員に達しました。
連続講演会 「下野薬師寺にまつわる歴史と美術2」-
日時 10月9日(日)午後1時 ~ 午後3時30分講師 川瀬 由照 氏(早稲田大学教授(日本彫刻史))
山本 勉 氏(鎌倉国宝館長・半蔵門ミュージアム館長(日本彫刻史))場所 当館講堂(定員150名)備考 要予約 ※聴講には当日の特別企画展観覧券が必要です。
※定員に達しました。
- 連続講演会 「下野薬師寺にまつわる歴史と美術3」
-
日時 10月22日(土) 午後1時 ~ 午後4時20分講師 千田 孝明 氏(日光観音寺住職(日本仏教文化史))
永村 眞 氏(日本女子大学名誉教授(日本中世史))場所 当館講堂(定員150名)備考 要予約 ※聴講には当日の特別企画展観覧券が必要です。
※定員に達しました。
- 担当学芸員による 「とっておき見どころ解説1」
-
日時 9月25日(日) 午後1時30分 ~ 午後3時 内容 歴史(古代)・考古分野について、詳しく解説します。 場所 当館講堂(定員150名) 備考 要予約 ※無料
- 担当学芸員による 「とっておき見どころ解説2」
-
日時 10月15日(土) 午後1時30分 ~ 午後3時 内容 美術分野(彫刻〔古代〕・絵画)について、詳しく解説します。 場所 当館講堂(定員150名) 備考 要予約 ※無料
- 担当学芸員による 「とっておき見どころ解説3」
-
日時 10月16日(日) 午後1時30分 ~ 午後3時 内容 中世以降の美術・歴史分野について、詳しく解説します。 場所 当館講堂(定員150名) 備考 要予約 ※無料
※とっておき見どころ解説は、毎回違う内容になりますので、ふるってご参加ください。
- ワークショップ 「古代瓦の3Dぬり絵」
-
日時 9月23日(金) 午後1時30分 ~ 午後2時 場所 1Fロビー(定員20名) 備考 要予約 ※有料(200円)