第132回企画展 異界
~あなたとふいにつながるせかい~
        企画展概要
  おとぎばなし「浦島太郎」では、龍宮城が登場したり、別の物語では暗がりから幽霊が現れたり・・・。古来、私たちは、暮らしを営む日常の世界とは異なる世界があると考えてきたようです。そこには、日常の世界ではあり得ない快楽、恐怖、不可思議さがあります。正しい手順を踏めば豊かな授かり物を得ることができたり、禁じられたことをすると大きな痛手を負うような教えがあったりします。こうした、ふいにつながる世界は、遠く、完全に離れたところにあるわけではないのかもしれません。 
         この企画展では、日常世界とは異なる世界のことを「異界」とします。そして、そこに存在すると考えられているものにも注目します。私たちが異界やそこにいるものをどのようなものとして捉え、どのように関わってきたのかについて、特に栃木の人々の暮らしから考えます。得体の知れない世界というだけでなく、心のよりどころともなり得る異界について、思いをはせるきっかけになりましたら幸いです。 
 
            会期
2022年4月23日(土)
~
            2022年6月15日(水)
            ※5月23日(月)に一部展示替えを行います。
 
            開館時間
午前9時30分
~
午後5時
(入館は午後4時30分まで)
 
            休館日
毎週月曜日
            5月6日(金)
展示構成
- 第1章 どこに
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              異界はどこにあるのでしょうか。 
 私たちがいつも通りに過ごす日常の世界と異界とは、完全に重なり合った同じ世界ではありません。なんらかの境をもって、区別されています。ただし、その境は、たとえば社会を作る地域の集団、家族、個人といった、まとまりは何であるか(何を守りたいのか)によって変わります。
 本章では、それぞれのまとまりに応じた境に注目しながら、異界が表れるところを見ていきます。
 第1節 自分(たち)の外側
 (1)集落
 (2)家
 (3)人
 第2節 遠いところ
 (1)天
 (2)山
 (3)地・穴
 (4)つなぐ/交わる場所
- 第2章 いつ
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              異界はいつ表れるのでしょうか。 
 異界は、私たちの日常の世界と、境をもって分かれてはいますが、ふいにつながる接点はいつも近くにあるようです。そして、異界とつながるときは折に触れて訪れます。たとえば、人生において大きな変化が起こるとき、季節が切り替わるときなどです。
 本章では、私たちは、異界を意識しながら重要な区切りのときを迎えていることを確認していきます。
 
 第1節 人生の節目
 (1)産
 (2)婚姻
 (3)死
 第2節 季節/一年の変わり目
 (1)正月
 (2)盆
 <コラム>異界の力を引き出す形
- 第3章 存在するもの
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              異界には、私たち人間とは異なるさまざまな存在が感じられています。 
 そもそも異界には、私たちの普段の暮らしの中にはない、特別な力があると考えられているようです。異界が意識される場所や時に、福を得ようとしたり魔を避けたりしようとする行事や儀礼が行われるのは、そのためでしょう。そして、こうした特別な力は、異界に存在するものが持って、私たちの日常世界と交わります。
 本章では、異界に存在するものを取り上げます。
 
 第1節 神仏
 第2節 死者
 第3節 化け物・妖怪
 (1)化け物
 (2)河童
 (3)妖狐
 (4)百目鬼
- 第4章 なぜ
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              異界はなぜあるのでしょうか。 
 異界の存在を感じながら、時折関わることによって、私たちはどのような影響を受けているのでしょうか。
 完全に離れていて交わらない世界ではなく、かといって、いつもつながっているわけでもない異界。良くも悪くも、日常にはない特別な力があり、それを持つ何かが存在する異界。恐ろしくもあり、覗いてみたくもある異界。
 本章では、私たちが異界を創り上げ関わってきた意味を考えます。
 
 第1節 教え
 第2節 備え
 第3節 娯楽
 <コラム>異界に関わるしぐさ
参考写真
※冒頭は「六道地獄絵図」(部分)光琳寺(宇都宮市)蔵
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| 虫送りの藁人形 (日光市日蔭) | ||
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| 猿の頭 (宇都宮市大谷町) | 初公開「百目鬼之姿絵」 本願寺蔵 (宇都宮市) | 「道祖神への供え物」 (日光市小来川) | 
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| 「オブギ」 (日光市日向) | 「八つ目図絵馬」 医師神社 (佐野市田沼町) | 「疫病神の詫び証文」(部分) 鹿沼市教育委員会蔵 | 
関連イベント
- 記念講演会 「異界と民俗的想像力」
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                日時 5月8日(日曜日)午後1時30分~午後3時30分 講師 常光 徹 氏 (国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授) 場所 当館講堂(定員150名) 備考 聴講には予約と当日の観覧券が必要です 
- 展示解説
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                日時 4月30日(土曜日)午後2時 ~ 午後3時 
 6月4日(土曜日)午後2時 ~ 午後3時場所 当館展示室(定員20名) 備考 予約不要(要観覧料) 
- 学芸員とっておき講座 「民俗事例から異界を探る」
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                日時 5月15日(日曜日)午後1時30分 ~ 午後3時 場所 当館講堂 備考 予約不要(無料) 
- 地獄絵絵解き
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                日時 5月28日(土曜日) 午後2時 ~ 午後3時 講師 井上 広法 氏 (光琳寺 住職) 場所 当館講堂(定員150名)※ご好評につき、当初より場所と定員を変更しました。 備考 聴講には予約が必要です(無料ですが、実物をご覧になるには観覧料が必要です) 
- 講座「栃木の民話語り(異界)」
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                日時 6月11日(土曜日) 午後1時30分 ~ 午後3時 講師 栃木県民話の会連絡協議会会員・担当学芸員 場所 当館講堂(定員150名) 備考 予約不要(無料) 
- 体験談募集
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                内容 本展会期中、会場の展示室にてあなたが体験した異界にまつわる出来事をご記入ください。 備考 予約不要(要観覧料) 



